メモ2*4
□綺麗な二人
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私達2人は、旅行に来ていた。
しかし、今、私達の目前には長い階段がある。
「うぅ〜わっ…ながっ!」
隣でえりたんが、その階段を見上げていった。
「これがホンマの大階段やね!」
「ホンマにな。」
ホテルから歩いてすぐのところに、夕日がきれいな高台があると聞いてやって来たのだが、今日は運良く貸切りのようで、誰も人を見かけなかった。
楽しみにしていたが、目の前の階段に彼女も少々上る力を失ったようだ。
「なぁ…ぱぱ、おんぶ。」
彼女が私を見て言った。
「え〜まだ上ってもないやん。」
「そやけど〜」
「わかった。えりたん、何段飛ばしで上れるか勝負しよ〜、な?」
「あぁ、それ、ええなぁ!」
ノリがいいのか、子供なだけなのか、彼女はすぐに賛同してくれた。
゛まゆ〜、見て、10段いけたで〜″などと言って、彼女はその長い脚をおおきく開いて、上っていた。
しかし、しばらくすると飽きたのか、疲れたのか、また甘えだした。
「まゆちゃーん、もぉむり〜。」
「あと少しやでぇ。」
数段先を上っていた私が、振り返って彼女に言う。
しかし、彼女は止まってしまい動こうとはしなかった。
仕方ないな〜と思って、階段を降りようとしたら、彼女が
「待った!」といい、私は脚を止めた。
「ん?」
「まゆ、そこでフォっ!!ってやって?」
「えー〜。」
「ええゃん、サービス、サービス!」
「やだよぉ〜、誰か見てたらはずかしいやん。」
「やってくれたら、頑張って上るから。」
「…わかった。一回だけやからね?」
私がしかたなく良いよと言えば、彼女はにこにこして言う。
「あん!」
私は、ポーズをとって息を吸った。
「フォっ!!!」
カッコつけた私に、えりたんはパチパチと拍手した。
「かっちょえぇな、まゆちゃんは、やっぱり。」
そして、階段をのぼりだしたので、私も再びのぼりはじめた。
少し先に頂上についた私の視界に入ったのは、真っ赤な夕日だった。
ちょっとすると、彼女もやってきた。
「まぁ〜ゆ!」と言って、頂上に着くなり、私を後ろから抱き締めた。
「えりたん、見て?きれいな夕日…」
「うん…」
彼女は私の肩に顎をのせて頷いた。
そして、私のお腹に手をまわしてきたので、私はその手をきゅっと握った。
彼女が「ふふっ」と笑うから、私は顔だけ振り返って彼女にキスをした。
唇が離れると、私達見つめあった。
彼女の顔が私の顔ときっと同じように夕日で染まっているだろう。
「えりたん、きれい…」
私が、彼女の頬に手をやってそう言ったら
「まゆかて…//」と彼女がいった。
私達は、ふふっと微笑みあって、夕日をみつめた。