メモ2*4

□たらしこまれて、はべらされて…いきすぎた想像となる
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ゆうひさんが、私のもとへやってきて言った。


「ねぇねぇ。」

「どうしたんですか?」

私が彼女の顔を見た。



「私って、そんな父兄をたらしこむような人に見える?」


彼女があまりにも真剣な顔で私を見て言うので、笑いそうになりながらも、間をためて答えた。

「…はい。」


「はい。って。」


すかさず、彼女がちょっと怒って突っ込んだ。

「やって、その背格好やったら、完璧にそれ目的な人みたいや。」


「それ目的って、それはさすがにないよ。それに、これでも私達付き合ってるのに。」


「じゃあ、想像してみます?」


そうだ。
本当に想像してみればいい。


「え、」

彼女はあっけらかんとした表情で私を見た。



「ゆうひさん、保母さんな。私、児童1。」


「1って、役なの?」


ゆうひさんがそう言ったとき、みわっちとまっつがやってきた。


「はぃ。あ、みわっちー、ええとこに。私のお母さん役してー」

「な、なんで急にそないなこと!?」

みわっちは、ビックリした顔で私を見ていた。




「ええやん。小さいこと言わんと。」


私が、みわっちの手を引いて連れてくるとまっつも後ろからチョコチョコとついてきた。
その様子を見ながらゆうひさんが、二人に言う。


「えりたん、私と幼稚園ごっこしたいんだって。」




「「え、」」


二人が私を白い目で見た。

「ち、ちゃうやろ!ゆうひさんが保母さんやったら、父兄たらしこむ言うから、想像する言うただけやろ?!」

「壮さん、それもう想像の域超えて妄想が現実になってんで。」


みわっちが、私に笑いながらそう言った。


「そやかて、絶対たらしこむやん。」


「まぁまぁ。」


私が、プイッとなって言うと、みわっちは落ち着いて。と言ったように私をなだめた。
その横でまっつはクスクスと笑っていった。

この小悪魔め!っと思う。


「な?そやから、みわっち頼むわ〜。」

私がみわっちに頼むと
「それやったら、私が子供やりますわ。」と彼女が言った。


「えー、みわっちが子供なん?」

私だって子供やりたぃ〜と駄々をこねたつもりだったのに、みわっちが笑っているまっつの腕をガッと引っ張った。

「私じゃ、役不足ならここに良いのがいますよ。
なぁ、まっつ?」

「え?!わ、私ですか?!」

引き寄せられたまっつは、ビックリして目をぱちくりさせた。




「ん〜。私かて子供やりたぃ〜」


私がそういう意味じゃない!っと駄々をこねたら、ゆうひさんが
「我儘言わないの。みわっちとまっつまで付き合わせて。」っと言って、私の額をパンっと叩いた。



「いたっ!いたぃわぁ〜ゆうひさん。」



「わかった?」

顔をのぞきこまれて、ぅう〜。となりながらも、これ以上ねばっても許してもらえなさそうだと判断し、

「わかりましたー。」とだけ答えた。



「で?どこから始めるの?」

ゆうひさんが、早くしてよ〜。っと言った感じで言った。


「子供を送り届けたとき。とか?」

私が、そう言って、みわっちとまっつの手を握った。

でも、その光景をみたゆうひさんが、ちょっと笑いながら言った。


「ねぇ、なんかさ。えりたんがお母さんって、見えないんだけど。お母さんっていうより、子供が三人に見えるよ」


「失礼な!」


私がそう突っ込んでいるのに、聞かないふりをして、ゆうひさんが私に注文する。

「じゃあ、パパァ〜って言って。」



「パパァ〜!」


関西人の血か、舞台人の血か…ふられたらこたえてしまうのが恐い。


「まゆさんが飛んできそう。」


みわっちが呟いた。



「確かに。」

まっつもうなずく。


「やっぱり子供だね。そもそも、えりたんがお母さんってのは無理がある。」


「む、無理があるて。」

だいたい、はじめから私は子供がいいと言ったのに、我慢させたのはゆうひさんじゃないか。



「まぁ、どちらかって言えば子供ですもんね」


まっつがボソッと呟いた。


「まっつに言われたないわ!」

私が、そう言ったとき組長さんがやってきて、想像と妄想を越えた現実はどこかへいってしまった。
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