メモ2*4

□心が痛い
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今日は先に家に帰って待ってると約束した彼女が帰ってみると、いなかった。

「なんやねん…。」

はじめは、ちょっと寄り道でもしているんだと信じてやまなかったが、
一時間、二時間と待って彼女が帰ってこなかったとき、私のイライラは溜まりにたまった。



「ほんま、どこいってんねん。」


そう呟いた瞬間、ガチャっと玄関が開く音がした。



「お邪魔します…」


まっつは、小さな声で入ってきた。

部屋に入ると、私のことをおそるおそる見た。


「あの…すみません。遅くなってしまって…」


「…自分、先に帰って待ってるって言うたよな?」


「はぃ…」

私が静かにそう問えば、彼女は下を向いてしまった。

「なにしててん?ん?」

問い詰めるように、彼女のちかくまで歩いていったら、彼女は2、3歩うしろに下がった。


しかし、そのとき私の鼻をかすめた匂いが、いつもと違うことに私はすぐ気づいて、彼女の手首を掴んだ。


「やっ!」

彼女が逃げようとしたのがさらに気にくわなくなって、グッと力を入れて引き寄せた。



「どこいってたか言うまで、絶対離さへんから、いい。」

私が低い声で見つめて問うと、
彼女が勢いよく首を横にふった。



「なんでや?」



「言いたくないですっ。離して…ください。」


彼女は、一生懸命体をよじったり、手を抜こうと空いた手を使ってとろうとした。

私は、そんなのお構いなしにさらに強く手首を掴んだ。



「いたっ…そぅさん痛い…。」


まっつは、悲しそうな目で私を見た。


「私の心はもっと痛いわ…。」


私がそう言うと、まっつが瞳を見開いた。


そして、抵抗をやめて、立ち尽くしていた。

そして、呟くように言った。


「壮さんが気がすむなら…なんでもします。好きにしてください…。」

私はその言葉に、今度は私が瞳を見開いた。


「それ…ほんまにまっつの本音なんか?」


私は、まだ少し怒りながらそう言うと、彼女もまだ意地をはっているのか、コクりと頷いた。


「よぅわかった。」


私は、彼女を無理矢理引っ張って、寝室へと連れ込んだ。
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