メモ2*4
□こんな記念日もある
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私が玄関扉を開けるといい匂いが漂っていた。
「ただいまー」
靴を見ればわかる、まっつが来ているんだ。
わたしは、彼女を探すためにゆっくりと部屋の戸をひらき、私は思わず扉をしめた。
ぱたんっ!!
私がみたものは、ドキドキさせる光景だった。
まっつは、白くて、、でもシンプルなネグリジェ姿でケーキを作っていた。
どきどきしながら扉を再び開くと、
彼女が私を見て、ふふっと笑い
「おかえりなさいっ」と言った。
「ど、どうしたんや…その格好っ//」
私は照れながらそう尋ねたら彼女は、ちょっと寂しそうな顔をした。
「今日…なんの日か覚えてへんのですか…?」
「今日…」
ケーキを、作っているということは…そういえば……
記念日だ
「…っ」
そう思ったときには、遅かった。
彼女は、涙目になってしまって、唇を噛み締めると、寝室へ走っていってしまったのだ。
「まっつ!!ごめんっ!」
そう言ったけど、彼女は寝室にパタンっと入ってしまって、もう出てくる様子さえ見られなかった。
私は一人残されて、ふと机の上を見ると、一枚のメモが残されていた。
そこには、今日やることが書かれていて、彼女が私のために、いろんなことを計画してくれていることがわかった。
そして、最後の行には
「壮さんと最高の記念日をおくる」と書いてあって、私は胸が苦しくなった。
私は寝室の扉の前に立って、
まるでエリザベートに話しかけるフランツのように語りかけた。
「まっつ…ごめんな…。忙しくて…忘れてた…」
そう素直に言ったけれど彼女から返事はなかった。
私は仕方なく、残されたケーキや食事を冷蔵庫にしまい、お風呂を入れた。
お風呂を入れ終わると、もう一度寝室の扉を叩いた。
「まっつ…ごめん…お風呂一緒に入ってくれへんかな…記念日もあと少ししかないし…いれるだけ一緒にいたいねん…自分勝手やけど…」
そう長々と言葉を探しながら口にしたが、彼女からの返事がなくて、
私はちょっと心配になってしまった。
「はいるで?」
私はそっと扉をあけた。
まっつは、涙のあとを頬に残したまま私の枕を抱き締めて眠っていた。
「まっつ…」
私は彼女の髪をなでると、布団をかけた。
「明日…記念日をやりおそな…。
まっつがしたいこと…いっぱいしよ…。約束や…。」
私は一人彼女に語りかけた。