メモ2
□なにも言わないで
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「はぁっ…」
稽古から帰った彼女がソファに座ると同時にため息をはく。
なんか悩んでるのかな?
「おかえり、えりたん」
とりあえず、おかえりだけ言ってみる。
「ただいま」
彼女はこっちを向かないで一言。
なんかやっぱり悩んでるんだ。
彼女のわかりやすさはピカイチ!
でも、あえてなにも言わない。
悩んでいることは自分で解決したいとそう考えてるはずだから。
だから、なにも言わないで食事を出してお風呂の準備をする。
すると彼女もなにも言わないで、食事をして、お風呂場へ向かった。
ベッドに2人で入っても、なにも言わない。
2人でなにもない天井を見ていた。
「おやすみなさい」
ようやくえりたんが言った。
「えりたん、おやすみ」
彼女の方を向いたけど、彼女は私とは反対方向を向いていた。
私は少しだけ、彼女に近寄った。
「大丈夫だよ…」
安心してという意味でそう言ったら、こっちを向かないまま彼女はコクりと頷い た。
そう、大丈夫。
つまづいても、転んでも、私はそばにいる。
だから、大丈夫。