メモ2
□機嫌をなおして?
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私たちは、休暇を使ってドライブに出掛けていた。
今日はえりたんが運転してくれてるんだけれど、さっきまでの元気はどこに いったのか…というくらい今は、元気をなくしてしまっている。
ハンドルに突っ伏した形になって、完璧に前方の様子は私に任せっぱなしだ。
「まゆ〜、もう渋滞いややあ〜!!」
そう言って足をばたつかせた。
さすがに過ってアクセルを踏んだら大変やと思って、 声をかける。
「わかった、わかったからえりたん。ほら、渋滞情報でもあと少しでぬけるって言ってるから頑張ってよ」
「あぁヴぁぁ〜!!!!!!」
彼女は「耐えられん!」っとばかりに大きな声をあげる。いやもう吠えたに近いか…。
そして、悔しそうにまた突っ伏した。
こうなったら彼女のイライラはしばらく収まらないだろう。
私はカバンから、小さなチョコレートをとりだした。
包みをとる音に、えりたんはピクッと反応はしたものの、まだ突っ伏したまま。
「えりたん、ほらチョコレート。食べ?甘いもの食べたら気もまぎれるよ」
差し出してもえりたんは、突っ伏したまま首を横にふる。
どうすれば、機嫌が直るかな〜と考えていたら、
「まゆのキス…そしたら頑張るぅ」
なるほど、そうきたか。
私が「えりたん」と彼女の名を呼ぶと、えりたんの顔は私にゆっくりと近づいてくる。
でも、その時ちょうど前の車が動きだしたのが横目に見えて、私は驚いて彼女の口にチョコを突っ込んでしまった。
「ん!!!」
一瞬、大きな目を見開いたえりたんだったけど、すぐに前を見て車を発車させた。
「ご、ごめん…チョコ、突っ込んじゃった」
私が慌てて謝罪すると、彼女はチョコを食べ終わったのか。笑いながらこう言った。
「フツ…はははツ。うん、チョコおいしいよ。ありがとっ」
「ふふふっ」
私も彼女の笑顔を見たら、安心して自然と笑みがこぼれた。