メモ2
□まずくても食べて
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それは、ゆうとえりたんで楽屋でまったりしている時だった。
「ねぇ、」
私は隣にいるえりたんに話しかけた。
「今夜どっちがご飯作る?」
「それは、おにぃちゃんやろ!」
「えりたんさぁ〜、都合の良いときだけ私を“おにぃちゃん”って呼ぶよね」
「そんなことないですよ〜」
出た出た、この芝居がかった顔。
こうしていつもの取っ組み合いが始まるんだ。
「いーや、そんなことある!第一、弟が作ればいいでしょ?普通は年下が作るものでしょ?」
「何いってるんですか!年上ですよ」
「私は朝作ってるでしょ?えりたん朝作ってくれないじゃない!」
「はぁ〜、誰のせいで作れないと思ってるんですかぁ?」
「それは…」
確かに…私が朝起きれない原因を作っているのは間違いない。
でもそれもこれも彼女が誰にも見せない色っぽさを私に見せるのがいけないんだ。
「ゆうひさんの抱きかたが荒いから、朝起きれないやで。それなのに料理せいちゅうんかい!まったくっ、ゆうひさんっ…ん!」
私とえりたんが口論になったのを見かねたゆうが、えりたんの口を手でふさぐ。
「あの、すみません…私もいるので、もう少しだけナチュラルな表現つかってもらえませんかね」
「ごめん」
私が謝ると、ゆうがえりたんから手を離した。
「ゆうさん、ひどいで!私の口ふさぐなんて!」
「えりたんがうるさいからでしょ。まったく…」
ゆうに怒られたえりたんは一瞬しゅんとなったものの、なにやら凄いことを思いついたような表情をした。
「そうや、ゆうさんや!!!!」
「え!私?!」
ゆう?彼女の声の大きさにゆうも私もびっくり。
「ゆうさん、今夜うちにきて料理してくださいよ。ゆうさんの料理最高ですから、誰かさんと違って」
そう言って、えりたんは私をみる。
しかし間髪いれずにゆうが言う。
「いーや」
「え〜なんでなん?」
「えりたんが作りなよ。ゆうひさんのためにたまにはさ」
ゆうに断られた彼女は、何とも受け入れがたい状況に
「えー」と口を尖らせる。
「大丈夫。ゆうひさんの手抜き料理食べてるのは、えりたんが好きだからでしょ? ゆうひさんもきっと食べてくれるから」
そう言ってゆうは、えりたんのおでこを叩いて楽屋から出ていった。
私たちはしばらく無言で、目をあわさなかったが、しびれを切らしたえりたんが口を開く。
「まずくても知りませんからね//」