メモ2
□あまい
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壮さんはときどき、とてつもなく恥ずかしいことを言ってくる。
この間も、私からキスするのは苦手だと知っているくせにせがんできた。
一度言ったら引かないのは知ってるけれど、私はそのたびにドキドキさせられる。
そう、確かあの時もそうだった。
壮さんの家でソファーに座り、下級生からもらったブラマンジェを食べている途中なのに、壮さんがキスをせがんだ。
「なぁまっつ〜、キスしたいんやけど、今してもええ?」
「え、今ですか?駄目ですよ。食べてますもん」
「なぁ。そんなこと言わんでキぃスゥ!」
「無理です//壮さんも、はよ食べてください」
「あかんねん!」
「はぃ?」
「食べてる途中にキスしたいねん」
「なんでですか〜//、そないなことしたら味わからんようになってしまうわ」
「そんなことない!いつもより甘いキスになるねん!」
「…。」
こうなったら止まらないのが彼女。
少女漫画でも、間違って読んでしまったんやろうか…。
「わかりました。キスします。していいですから。」
私は、そう言って手に持っていた食器を置こうとしたら、その手を壮さんに止められた。
私は不思議に思って、彼女を見る。
「ん?」
「今日は、まっつからして」
「…////」
私から…///
「あかん?」
「…もぅ」
「なあ、まっつ〜」
甘えた声で私にせがむ。
その目はまさに少年。
あぁ〜…あかん。
この目はもう耐えられない。
こんな期待されたら無理や。
私は、一口ブラマンジェを運ぶと、落ち着いて食器をおいた。
壮さんは、そんな私を見て「やっぱり、あかんか…」っといった様子。
私だって、私だって、本当はキスしたいんですよ?
でもいつもはそんな勇気が出ないだけ。
私は甘いデザートが、まだ口に残るなかで勢いよく口づけた。
「…んっ…//」
壮さんの目が一瞬ビックリして大きくなってから、ゆっくりと気持ち良さそうに目をつぶった。
私も彼女を気持ちよくできた…//って、嬉しい気持ちになった瞬間、今度は壮さんから勢いよく背中を抱かれて、私と彼女の距離が一気に縮まった。
そして、どんどんキスは深くなった。
「んんっ…/////」
甘い…それはこのデザートのせいなのか、はたまた私の心の持ちようなのか。
今までで一番甘いキスだった。