メモ2
□どっちが猛獣使い?
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「ただいま〜」
私が帰るとえりたんはもう家にいた。
「お、よう帰った」
なぜか偉そうな彼女。
「なんで、そんな言い方?」
「あかんの?」
「や、あかんくはないけど…」
「なぁ、まゆ」
「ん?」
えりたんが座るソファの隣に私も座る。
「まゆさ、逆転裁判の時にサーカスでやるなら猛獣使いがやりた言ったんやんな」
「うん、そやで」
素直に答えただけなのに彼女から
「なんでやねん!」
って、ペシリと手が肩に飛んできた。
痛くはない、優しい叩きかただ。
「あかんの?」
「私がやりたいねん、猛獣使い!」
「しってる。ていうか、もうやったやん」
あのシーンすっごく似合ってたもんね。
でも普段のあなたはどちらかっていうと猛獣使いというよりは、自由奔放なところが猛獣タイプだよ。
「じゃあ、なんでまゆもやねん。まゆは、空中ブランコとか、曲芸とか、その腰使って出来ることがいろいろあるやん!」
「いや、なんで腰?てか、やりたいもんはやりたいんやもん」
そう言った私の言葉にちょっとご機嫌斜めのえりたん。
「ねぇ、えりたん」
「なにぃ?」
こういうのはあまり得意じゃないけれど、ちょっとご機嫌を損ねちゃったえりたんには、私が甘えるのが一番だってよく知ってる。
「ねぇ、ぎゅーってして?」
今日は私が彼女を手懐けてみせると意気込んだのに彼女はなんだか不安そう。
「ええけど…我慢できんくなるとまゆ、怒るやろ?」
「怒んないよ」
「ほんまに?ぎゅーだけじゃないかもしれへんよ?」
「うん、いいよ…」
「…ほんまに、ほんま?」
「ふふっ、ねえ来て、えりたん…」
私は彼女を見つめながら、えりたんの服を引っ張って引き寄せる。
「んっ///」
でも、キスが終わる頃には、いつのまにか私はえりたんの下になっていた。
「まゆ…私の好きにしてええやんな」
「え?」
いつもあなたの好きにしているのに?
なんて思うけれど、すでにえりたんの瞳は獲物を狙うライオンのようになっている。
「ええやろ?」
「嫌って言ったら?」
断ったところで、どうにもならないんやろうな〜と思ったけれど一応、聞いてみる。
「嫌って言われんようにする」
「ふふっ、そっか。好きにしていいけど、優しいえれりたんがすきだな…」
私が彼女に手を伸ばしてえりたんの髪を撫でると、今度は彼女の手が私の服の間を縫って、直接胸を揉みだした。
「あっ…んっ…っ…ぁあっ…//」
その手つきは優しくて、愛情さえ感じてしまう。
猛獣使いがいい!なんて彼女は言っていたけれど、もしえりたんが猛獣使いならこうやって動物にも愛情持って接して、簡単に手懐けてしまうんやろうな。
そんなことを考えていたら、えりたんの手が私の中心に急に触った。
「っ…//」
「集中し、まゆ…」
「ごめんっ…すごくえりたんの手が優しかったから…っ…もし猛獣使いになっても、すぐ手懐けちゃうんやろうなって思って…」
素直に白状した私に、彼女の手が一瞬とまる。
「でも…まゆを手懐けていいのは私だけやから」
「またそんなこと言って…」
「まゆの一番綺麗な瞬間作れるのは、私だけやろ?」
そう…あなたしか知らない私がいて、
私しかしらないえりたんがいる。
それは、お互いに強い信頼関係があるから相手に見せられる姿。
猛獣も猛獣使いも…きっと私たちと同じくらい強い絆がそこにあるんだろうと思う。
「えりたん…」
私は彼女の名前を呼びながらその背に腕を回し、全てを委ねた。