メモ2*2
□今日だけだよ
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私が食器を洗っていると彼女がやってくる足音がする。
「ま〜ゆたん♪」
「なぁに?えりたん」
彼女が私を後ろから抱き締めてくる。
私は、食器を洗い続けながら聞く、
「あんなぁ、今日な〜」
「うん」
「まゆたんと一緒にお風呂したいなぁ〜」
えりたんは甘えた声でお願いしてくるけど、約束を私はちゃんと覚えてるよ。
「え〜公演中はあかん約束やろ?」
「そやけど〜入りたいねん。」
「だぁめ。」
「えー、まゆたんお願い〜」
えりたんは、私の体をゆさゆさと揺すってまるで5歳児のように駄々をこねた。
「うーん。でも、えりたんが我慢したら、千秋楽後はえりたんの好きにしていいっていうご褒美あげようと思ってたのになぁ〜」
「ほんま?」
「うん。」
わたしが、お菓子でつるそこら辺の親のように言ったら、一瞬だけ彼女は目を輝かせたような声がした。
でも、その声は次の言葉で効力がなかったとわかった。
「…でもなぁ」
「?」
私はわしゃわしゃとスポンジを泡立たせながらも、彼女の方に顔だけむける。
「やっぱり今日一緒にお風呂入りたいねん…」
「…」
「まゆ、あかん?」
「…っ//」
あまりに上目使いのえりたんが可愛いから、ちょっと反応に困って、また顔をシンクに戻す。
「まゆ、お願い?」
えりたんはまたお願いをすると、私の胸元にスッと手を入れてきて、首にキスを落とした。
「あっ…//こらっ!えりたんっ!」
わたしは、手に泡がついているから抵抗できないでいると、
「だって、まゆたんがお願い聞いてくれへんのやもんっ!」
っと言って、さらに手を動かしてくる。
だから私は、水の入った桶に手をいれて泡をとる。
「だからって…ッ…もう!//」
そして、彼女の腕をつかんでつねる。
「イタっ!まゆたんひどいわ〜」
彼女は手をひっこめる。
私は振り替えって言う。
「言うこと聞かへんのはどっちやねん。」
「そやかて…」
「言い訳はなし!はい、お風呂行く!」
「まゆたん怖い…。」
「まったく…。」
彼女はうなだれて、体をお風呂の方へむけた。
そして、トボトボと歩きだした、
でもなんだか、その姿がかわいそうになって、えりたんをよぶ。
「…えりたん!」
「ん?」
彼女がふりかえる。
「私も後から行くから、先に温まって待ってて。」
「…一緒に入ってくれるん?」
「今日だけだよ?」
「うん!」
「何にもしないって約束できる?」
「あん!」
「よろしい。」
彼女はスキップをして風呂へむかった。