メモ2*2
□特技
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私が食堂のイスに座って頭を抱えていると、まゆがやってくる。
「えーりたん」
「あ、まゆ…」
「あー、それおとめのやつ?」
私がテーブルの上に置いたおとめの調査書をみた彼女は運んできたご飯をテーブルに置いて隣に座る。
「何で頭抱えてんの?」
「ん〜。まぁ、ほぼいつも通りやねんけどなぁ」
「うん。そうだね。そこまでかわりがないね」
まゆが、私の紙を眺めて言った。
「そやろ?ほら、まゆたんは「大恋愛物」のビックリマーク増えてくとか、なんかファンのみんなが喜びそうなんがあるやん。私も奇を衒いたいねん!!!」
「…。」
私が奇を衒いたいことを勢いよく言って立ち上がったら、まゆはあっけにとられて私を見あげた。
「なんかないんかなー。特技とか…それも普通やない特技が」
「特技なぁ〜、えりたんの特技…」
私はゆっくりイスに腰を下ろすと、同じタイミングで、まゆも箸をおいて考え始めた。
「あ!動物に似てる数が多いっていうのは?!」
「それ特技やなくて、特徴やで」
「まぁ、そうだね…んー」
「私、まゆちゃんの隠れ特技なら知ってねんけどなぁ」
「私の隠れ特技?」
そう。
まゆのことならなんでも知ってるんやから。
「そやで」
私はニヤッとして、彼女を見る。
「なんか嫌な予感やな。なぁに?」
「腰ふり!」
まゆのダンスしてるときの腰ふりは半端ではない。
「…ッ!それ、どういう意味やねん//」
あ、顔が真っ赤だ。
確かに夜のまゆの誘いかたは、特技と言えるだろう。
赤くなる彼女を見て、そんなつもりもないのに夜のことを考えてしまった。
「あー。たしかに、私のこと誘うのめっちゃうまいやんな!」
「…っ//そんなん誘ってへんやん!」
まゆがちょっとご機嫌斜めになってしまったのがわかって、私はこれ以上いじめると本当に夜彼女をもらえなくなると、話を戻すことにした。
「そうかなぁー。あ、でも、まゆたんの特技やなくて、私の特技を考えなあかんのやった」
「もう…//えりたんの特技なんか考えてあげないっ」
うん、それでもいい。
だってわかっちゃった、私の特技はまゆちゃんを真っ赤にすることだって。