メモ2*2

□えりたんの察し
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私の同期、いや大事な人は変なとこに察しがきく。

それは昨晩のこと。 私が帰るとすぐに、えりたんが帰ってきた。

わたしがお帰りと言って、えりたんの荷物を取ると、えりたん が玄関に立ったまま、私に抱きついてきた。

「なぁ、まゆ?」

えりたんが甘えた声で、そのままお喋りしてきた。

「ん?」

「今日な?オムライスがええなー。」

「また?えりたんこれで、今週三回目やで?」

そう。これで3回目。 オムライスが好きすぎるわけではないから、気になって言って みた。

「あかん?」

あ、また甘えた声だしてる。

「いいけど。どうしてオムライスばっか?」

「やって。うまいから。」

「そんなん答えになってない。」

「オムライス…作るのに時間かかるやろ?」

「まぁな。」

「まゆが料理してんの見るの好きやねん。」

「料理してる姿より、料理のが好きなんじゃないの?(笑)」

「そやな〜。そうかも。」

「やっぱり!それにさ、料理するのに時間かかるもなら、お寿 司やろピザやろ、ラーメンやろ、」

「まゆたん。それデリバリーやで、全部。」

えりたんがそう言って顔をあげた。

「あ、ほんまや!」

私がおどけて言うと

「あはは、おもろいな〜」

なんて、笑ってやっと上がってきてくれて、スタスタと廊下 を、歩いていった。

っと思ったら、止まって振り返りもせずに呟いた。

「でも、今はまゆとゆったり出来る時間大事にしたいねん。」

そう言ったのが聞こえたから、なにかあるんやな。って思った 私はえりたんの腰のあたりからお腹に手をまわして、後ろから 抱きしめた。

「どうしたん?急に?」

「退団。」

「え?」

「退団するんやろ?」

「…。」

「…。」

「知ってたんだ?」

「うん。知ってた。」

「そっか。ばれちゃったなぁ〜。」

「まゆ。」

「ん?」

「いつまでも、お互い大事な人でおろな?」

「…うん。大丈夫。えりたんがいれば」

そう私が言った瞬間、私がえりたんのお腹あたりにあった手の 上に、ポタッっと透明の液体が落ちてきた。

そのとき、はじめてえりたんが泣いていると知った。

私はえりたんにまわした手に力を入れると、彼女が言う

「やっと、やっと…一緒にトップになれたのに。」

「うん。長い道のりだったね。」

「まゆのアホ」

「ごめんね、えりたん」

そう言ったら、えりたんが涙をぬぐって、なにかをふりきるよ うに首をふった。

「ああぁぁあ〜ー!!きついわ〜」

っと言って、振り返った。

その顔は、一生懸命つくった笑顔があった。

でも、たぶん彼女は今いろんなものを受け入れて、そして自分 の成長する場もよくわかっているのだろう。

だから、私も精一杯の笑顔を作って

「さ、美味しいオムライス作ろ〜」

っと言うと、彼女は、本当に嬉しそうな顔になって

「やった〜!」

っといつもの小学生のような彼女がいた。

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