メモ2*2
□奧さまは○○
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彼女は少し甘えただ。
2人でいるとき、いつだって一緒にいたがる。
ほら、今も私が鍋の火を見ながら料理をしていたら、えりたんが私を後ろから抱き締めながら、話しかけてきた。
それもなんだか、甘えた声で…
「ねぇ、ダーリン?」
「ダ、ダーリンっ…//?!」
私は、その言葉に驚きすぎて振り返った。
すると、彼女がニヤッとした顔で言う。
「まゆは、私達のパパやし。私にとっては恋人やから、これが一番合ってる呼び方やと思うねん。ほら、奧さまはなんとかちゅうテレビでも、パパのことダーリンって呼ぶやろ?」
奥さまは魔女のことやね…それ完璧に。
でも、えりたんはなにか勘違いしてるような…。
「えりたん、それ名前がダーリンだからやで。」
「へ…そうなん?」
彼女が、腰の抜けたような声で言う。
「うん。」
「…なんや。つまらん。」
私が頷くと、つまらないと言って、私の腰回りにあった彼女の手がなくなって、彼女は2、3歩私から離れた。
「つまらんって…。それにしても、いきなりダーリンなんてビックリした。あ、でも私がダーリンなら、えりたんは奥さん?」
ちょっとしょんぼり気味の彼女に私が聞く。
「んー。そうやね。」
すると彼女は、ちょっと嬉しそうになってそう言った。
「家事はほとんど私なのに?」
私がまたちょっといたずらぎみに言ったら、彼女はぶーっとなって、駄々をこねるような表情をした。
「そんなことないやろ、洗濯やってするし、掃除だってするやん!まゆが、勝手に手伝ってくるだけやろ?」
勝手にって…。
えりたんやり方が雑だからでしょ…。
「勝手にって…。だって、えりたんやることワイルドなんやもん。」
私が、ちょっぴり本気モードでそう言ったら、彼女はぶっきらぼうに言う。
「そんなんそう変わらへんのに〜。」
「変わるよ。私がやったほうが綺麗にできるんやもん。」
なんだか私が喧嘩ごしになってきて、大人げないななんて思っていながらも、あとに引けないと思いながらそう言ったら、えりたんは、ちょっと微笑みながら言った。
「ふーん、まゆちゃん嫌いや〜。」
あ…えりたん、私のこと許してくれてる。
「嫌いで結構〜。」
でも、なんや謝れない私。
「はいはい。私も〜」
そう棒読みに言いながらも彼女は、私が料理をして出る道具を無言で洗ってくれていた。
こんな喧嘩してるときだって、私のそばにいる彼女。
私は本当は知ってる。
彼女がベッドメイキングを私より綺麗に出きることや、洗濯物を畳むのが上手なことを。
何だかんだ言って彼女は、優しい。
素直だけど、素直に謝れないだけ。
でも、それは私も同じ。
違うとこがあるなら、ちょっぴり子供なだけ。甘えたなだけ。
奧さまは甘えた。