幻想世界の鎮魂歌
□前奏
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フォルテが澪を連れて組織に戻ると、組織は大慌てだった。等々トチ狂って幼女誘拐をしてきた。だの、普通の女じゃ満足出来なくなって、ロリコンに走った。だの、言われ放題言われていた。
「フォルテ、おかえり。所で、あんなに言わせっぱなしで良いの?」と、真っ赤なドレスの美しい女性が声をかけてきた。
「アレグロか。言わせとけ。後で纏めて吊るす」と、フォルテは不敵に笑った。
怖い怖いと、口では言いながらも、アレグロも楽し気に微笑む。
それで、と。首を傾げながら綺麗に整えられた指で澪を指差す。
「ああ、雪ん中で倒れてた。記憶も亡くしてるようだから、拾ってきた。」と、フォルテが答える。
「あら、珍しいわね?フォルテが人を助けるなんて。殺しはしないけど助けもしない貴方が、どんな心情の変化かしら?」
アレグロがクスクスと面白いものを見付けた目でフォルテを見ながら話す。
「さあね?俺もわかんねぇ」
担がれた少女は、担がれたまま、長距離に疲れたのか、眠っていた。
冷酷で残酷。黒の使徒を狩る時の姿は、まるで悪魔。そう呼ばれている、光の使者。組織のエース。それが、フォルテだ。
そんなフォルテに、助けられ、のち、押し付けられる様に育てられた少女。それが、澪だ。