進撃の巨人

□ラブストーリーは突然に〜接近編1〜
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『リヴァイ?ぼ〜っとして何かあった?』
昼休み、淡い金髪の幼馴染みナナバが豆乳バナナを飲みつつ聞いてきた。
『•••別に、何もねぇ』
『ふ〜ん•••で、何があったのかな?』
俺の眉間の皺をグリグリしながら引き下がらない。
昔からこいつにだけは嘘がつけねぇ。オムツ履いていた頃からの付き合いだ。
『男に触られた。けど、気持ち悪くなくて•••』
ゴキュ•••
ナナバの喉から変な音がした。
『大丈夫か?変な音したぞ?』
『大丈夫?なのは貴方でしょ?触られて気持ち悪くないって潔癖魔神の貴方がどうしちゃったの?』
俺の肩を掴んでガクガク揺すぶってきた。
『潔癖魔神って何だ?俺だってワケわかんねぇんだよ•••あんなの初めてだし。』
ちょっぴり頬を染めて俯く。
何?この可愛い生き物は•••。今、男どもの前に放り投げたら瞬殺で剥かれるよ。
『リヴァイ•••その顔で皆の前に出ちゃダメだよ。』
『ーー何でだよ?』
『ダメったらダメ』
リヴァイは自分の容姿に関しては超鈍感なんだよね•••超潔癖魔神だし普段無愛想だし目つき悪いし無口だし•••あっ口も悪いかな?だから皆リヴァイに近づかない。近づきたいんだろうけど。リヴァイが無意識に壁作ってるから•••
けど、そのリヴァイが壁作るの忘れちゃう人が現れるなんて•••嬉しい!どんな人だろ?この際、男だろうが何でもいい。あの子を外に連れ去ってくれる人なら•••

学校が終わりバイトに出掛けた。
俺とナナバは同じレストランでバイトをしている。
俺は厨房。ナナバはウェイター兼バリスタ。結構時給も良いし気に入っている。
『リヴァイ、私は先に上がるよ〜』
午後8:30。ナナバは片付け当番ではなかったので先に帰った。
俺は少し仕込みの手伝いの為残った。
料理を作るのは楽しい。色々な材料から一つの物を作り上げるのが好きだ。だから、仕込みを手伝わせてもらえると嬉しいのだ。
時計を見ると午後10:45。少し遅くなり過ぎた。
『リヴァイ君、遅くなっちゃってゴメン。上がっていいよ〜』
『わかりました。お先失礼します。』
頭をさげ、更衣室に入り着替える。帰り際に賄い御飯を頂きちょっと得した気分で駅に向かった。
週末の電車は混んでいた。
混んでいる電車は嫌いだ。ナナバに潔癖魔神と呼ばれるほど自他認める潔癖性だ。見知らぬ他人と肌をくっつけるなんて吐き気がする。しかし、乗らないと帰れない。俺はチっと舌打ちをすると電車に乗り込んだ。
ーーガタダン、ガタン、ゴトン•••
電車は揺れる。最寄りの駅まで五つだ。窓から流れる景色を見ながら睡魔に襲われる。
ウトウトと船を漕いでると電車の揺れに合わせて尻に触れてくる手を感じた。男の尻に触れてくるなんざ気のせいだと思っていたが、俺が無抵抗なのをいいことにガッツリ尻を掴み揉まれた。
『ーーてめぇ、何人のケツ触ってんだ?』
激おこぷんぷんファイナルレベルの目つきで振り向き手首を捻りあげようとした
『そんな顔しないでよ。可愛い顔が台無しだよ、リヴァイくん』
尻を撫で回したまま後ろから俺の胸を弄るようにもう片方の腕を絡ませてきた。
俺は全身に鳥肌とともに冷たい嫌な汗が流れた。
『ーーストーカー野郎か•••?』
男は嬉しそうに笑うと首筋に舌を這わせてきやがった。
『ーーっッ』
鳥肌と悪寒が全身を走り抜けた。
『ねぇ•••この間の男は何?部屋の中に入れちゃってさ、俺がこんなに愛してるのに浮気するの?』
コイツ、ヤバすぎる!
逃げなきゃ•••このままじゃヤられる!
突如扉が開いた。タイミングの良い事に駅に着いたようだ。降りる駅じゃないが、男の腕を振り切り転がるようにホームへ降りた。
俺は振り返らずに走って逃げた。気持ち悪い。吐き気がする。
改札を出てとりあえず人の多い場所へ避難した。
ポケットを探り携帯電話を取り出し震える指でボタンを押す。
相手はーーあの男だ。
ーー早く出て•••怖い、気持ち悪い、早くあの声が聴きたい。

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