進撃の巨人

□ラブストーリーは突然に〜接近編5〜
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本日ディナーのメニューはロールキャベツ。オニオンスープ、シーザーサラダ。
目の前の可愛らしい存在が作ってくれたからなのか、どれも絶品で美味かった。
微笑んで『美味しかったよ』と囁けば顔を真っ赤にして俯く。チラリと伺う仕草も堪らなく可愛らしい。
『リヴァイは本当に料理が上手だな。キャベツとミンチからあんなのができるとは•••』
『あんなモン誰だってできる。俺はレストランでバイトしているからな、できて当然だ。』
プイッと視線を反らせモゴモゴ呟く。顔がほんのり紅い。テレてる。
『ーーあっそうだ。明日はバイトがある。シフトは午後からだが行ってもいいか?』
そういえばバイト帰りに襲われたと言っていた。本心は行って欲しくない。が、そこまでリヴァイの行動を制限するのもどうかと思うし•••
『わかった。けれど終わったら連絡しろ、迎えにいく。』
くれぐれも一人になるな、と釘をさした。リヴァイはコクンと頷いてくれた。
『そうだ、明日リヴァイが帰ってきたら紹介したい人いる。私の部下で、お前のストーカー被害を手伝ってもらう。』
そう•••職権乱用と言われようがかまわない。持てる力、権限をフルに使って追い詰めてやる。クソストーカー野郎、リヴァイに触れた罪は償ってもらう•••
ニヤリと口の端だけで笑った。あまりのブラックスマイルにリヴァイは後さずった。
『ーーエルヴィン?』
おっと、危ない。
慌てて通常スマイルに切り替える。クソストーカー野郎の言を考えると黒い感情が出てきてしまうな、気をつけなければ。
『ん?どうかしたか?ーーそうだ、宿題とかは大丈夫なのか?』
とりあえず誤魔化し話題を変えよう。リヴァイはそういえば、と課題を持ってきた。数学と物理の課題を広げてせっせと取り掛かり始めた。
『リヴァイは苦手な教科はないのか?』
課題など懐かしい。一応は進学校に行っていたものだから週末は課題だらけだった
『そうだな•••化学ぐらいか?苦手ってわけじゃねえけど得意じゃねぇ。』
『化学か•••ハンジが得意だったな。』
『ハンジ?』
リヴァイが小首をかしげ聞き慣れない名前にクエスチョンマークを飛ばした。
『あぁ、ハンジというのは学生時代からの友人兼部下だ。明日お前に会わせたい人の一人だ。もし、化学で解らない所があるなら彼女に聞くといい。』
ふぅん•••と何か言いたそうな微妙な表情で了解した。どうかしたのだろうか?
リヴァイは課題に戻り、私は仕事の資料に目を通す。
誰かがこんなに近くにいる事に不快感はなくむしろ居心地が良かった


翌日、リヴァイをバイト先まで車で送り、自分は職場へ足を運んだ。
『ミケ、ハンジわざわざ休日のとこれすまないな。』
部屋には友人兼部下の二人がいた。二人とも気分を害している風もなく執務室で寛いでいた。
『気にするな。お前が頼ってくるって事は何かしら余程の事なんだろう。』
『そうそう。私はいつも我儘きいてもらってるからね、貴方の頼みなら何でもきいちゃうよ。』
ミケとハンジは快く頼みをきいてくれそうだ。
執務室に入り自分のデスクに上衣を掛ける。すると、表情の変化に乏しいミケが驚いたような顔をした。
『ーーどうした?』
またまた珍しく困ったような何ともいえない表情のまま『•••いや』と言って下がった。何かあったか?
『で、で、貴方の頼みって何なの?早く聞きた〜い。』
ハンジが身を乗り出して催促してきた。相変わらず好奇心の塊だ。
『そうか?なら、早速本題に入らせてもらう。ーー頼みというのはある人物の身辺調査、監視•••というか護衛。それと•••その人物を付け回しているクソストーカー野郎の捕獲だ。』
一瞬にして黒エルヴィンと化した。まあ、二人は私がどれだけ黒いか知っているから驚かないだろう。
『•••うわっ黒ヴィン降臨だ。』
『久々だな。』
二人とも嬉しそうに笑っている。二人は黒い私のほうが好きらしい。変わった奴等だ。
『で、そのターゲットになる人物ってのは誰だ?』
『あぁ、今日の夜に家に来てくれ。紹介も兼ねて夕食をご馳走するよ。』
二人は驚いた顔をした。
『えっ?エルヴィンん家にいるの?』
『ああ、いる。どうした?』
それこそ変な物でも食ったか?と聞きたくなるような表情をしている二人。
『とりあえず夜はあけておいてくれ。私は少し仕事をしていくよ。』
ひらひらと手を振る。
二人にあの子を紹介するのが楽しみだ。


執務室廊下。
二人の足音だけが響く。
『ーーミケ、聞いた?一緒に住んでるんだって。』
『あぁ、あいつがあいつ以外の人間をテリトリーに入れるなんてな•••』
『そうだよ!私は認めない!認めな〜い!』
ミケは顎髭を弄りながら呟いた。
『ーーただな、エルヴィンから微かだがあいつの匂いがした。』
『えっ?てことはエルヴィンはあの子に会ってるかもって?』
『わからん。が、可能性は高いな。』
ふぅ•••とため息ひとつ。
ミケもハンジも期待が真実になってほしいと思っている。
でないと、何の為にこうして生まれ変わってきたのかわからない。今世こそ二人に幸せになってもらいたいから•••だからこうして近くにいて見守っているのだ。
『とりあえず今夜、エルヴィンの家にいくぞ。』
『私、絶対邪魔するから。エルヴィンはあの子のなんだもん。頼みはきくよ、けど絶対邪魔してやる!何処の馬の骨にはエルヴィンはやらない!!』
天を仰ぎ握りこぶしを高く掲げ、鼻息荒く宣言した。
ミケは呆れたようにハンジを見やり、心中は『まったくだ』と思っていた。

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