青色の風

□家族
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調査兵団本部の目の前


「ここ?」

「あぁ」

リンは、新しい"家"となる調査兵団本部をキラキラとした目で見ていた

ワクワクする気持ちと同時に不安もこみ上げてくる
本当に調査兵団のみんなは私の家族になってくれるのだろうか

「大丈夫だ」

そんな私に気づいたのかお兄ちゃんはそう言って、私の前でしゃがんで頭をなでてくれた

お兄ちゃんの声って安心する

「うん・・ありがとう・・お兄ちゃん!!」


「フッ・・・あぁ」

微笑みながらお兄ちゃんは立ち上がって言った


「じゃぁ、行くか」

「うん!!」

お兄ちゃんが私の手を引いて歩いていく

中に入ってしばらく歩いていると何人かの人とすれ違った

みんな、お兄ちゃんとは、知り合いのようだった。お兄ちゃんが挨拶したあと、後ろを歩く私を見て誰もが驚いたような顔をした

当たり前か・・なんて思っていたら、ドアの前で立っている金髪の七三分けをしている人に会った



「よ〜エルヴィン」

「っ?」

エルヴィンと呼ばれたその人はお兄ちゃんを見るとこっちに近づいてきた
お兄ちゃんの後ろにたっている私には気づいていないようだ


「(お兄ちゃんが言っていたエルヴィンさんってこの人のことかな?)」



「シュルセルか、・・話は聞いたぞ。・・・
妹を連れてくると聞いたんだが・・」

「あぁ」

お兄ちゃんは後ろに隠れている私を自分の横に立たせた



「コイツだ、名前はリンっていうんだ」

「こっ・・こんにちは・・リンです・・」


「っ!」


エルヴィンさんが私を見てとても驚いた顔をした


「どうしたんですか??」


「そうだぞ、エルヴィン。なにかたまってんだ?もしかして、リンに惚れたんじゃねーだろーな?
このロリコンっ!!だから、エルヴィンは危険なんだよ!!リンは渡さんぞ!!」

「そんなわけないだろ!!危険ってそういうことかっ!!」

お兄ちゃんとエルヴィンさんが言い合ってる

ていうか、エルヴィンさんの髪って・・・・


「・・・ヅ・・ラ・・・?」


ピタリと言い合いがやんだ
二人が私の方を見ている
私何かヤバいこと言っちゃったかも



「ブッ・・アハハハハハハハッ!!」

お兄ちゃんが盛大に笑い出した

エルヴィンさんが私の方に近づいてきて、私の目線に合わせるためにしゃがんできた


「リンといったな。いいか、私の髪はヅラじゃない」


「えっ!?あっ!ごめんなさい!!」

「いや、いい」

エルヴィンさんは微笑みながら私の頭をなでてくれた

エルヴィンさんの手大きくてあったかい
お兄ちゃんみたい


「シュルセルっ、いい加減に笑うのやめてくれないか?」


エルヴィンさんが、いまだ笑い転げているお兄ちゃんに言った


「だぁっっっって〜・・ククッ・・クハハハハハハ!!」

お兄ちゃんが涙目になりながら答える


「フフッ・・フハハハッ」

笑っているお兄ちゃんを見ていると私まで笑えてきた


廊下には、二人の兄弟の笑い声がしばらくの間響いていた
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