侍女の災難
□呪魔の森
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「アルマトラン……ですか?」
「ああ。聞き覚えはないか?」
こんばんは、みなさん。
私はリフィと言って紅炎様の侍女をしております。
今、私と紅炎様は書庫におり、トラン語の文献を読んでいたところなのですが…。
「そうですね…。あるような、ないような」
「お前にしては珍しくあいまいだな」
「本当にどっちかわからないんですよ」
アルマトラン…。
どこかで聞いたことがあるような気もするけれど、どこだったんだろう…。
小さい頃、誰かに…。
…………………………。
…………………………。
…………………ああーー!!
「お、思い出した!」
「何をだ?」
こちらをキョトンとした顔で見てくる紅炎様。
ああ、かわいらしいです!
何かに納めておきたい!!
小さい頃の紅炎様もかわいらしかったけど、成長してからは普段のギャップもあって、ますますかわいいです!
「おい、リフィ?」
「はっ。も、申し訳ありません。紅炎様のかわいさのあまり、思考を飛ばしてしまいました!」
「……そう…なのか?」
そういった紅炎様は引きつった顔をしていた。
あ〜、失言しちゃいました。
まあ、いいですか。
寝ればたぶん、忘れるでしょうし。
「コホン。…それで、何を思いだしたんだ?」
「ぁ。実は昔、爺様がそう言う世界のことを言っておられましたので。……おそらく、爺様はその、アルマトランのことを知っておられると思います」
「!本当かっ!?」
「はい。おそらく…私の記憶が間違ってなければ」