侍女の災難
□呪魔の森
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『ならぬ』
「え?」
「………」
私たちはここに来た理由を話し、アルマトランについて聞こうと思ったのだが…。
『これは掟だ。いくらリフィの頼みでも聞けぬ』
「そんな…」
せっかくここまで来たのに…。
「…その掟はだれが決めた」
「え?」
『………偉大なるソロモン王とその眷属よ』
「なるほどな」
「え、えぇ?」
「帰るぞ」
「ちょ、ちょっと待ってください」
そのまま踵を返し歩きだす。
「そ、それでは失礼いたします。爺さま」
「紅炎様、よろしいのですか?」
「何が?」
「アルマトランについて、そのためにここまで来たのでしょう?」
「ああ、それもあるが…」
「それも?」
「またお前と一緒にここに来たかった」
「!?」
え?
今、なんて?
一緒に来たかった?
え、どうして…。
「ここは、お前の故郷だからな。それに、お前も里帰りしたがっていただろう?こちらを見て、ため息をついていたからな」
紅炎様……見ていてくれたんですね。
目から涙が出てきそうだった。
見ていてくれた嬉しさと、私を連れてきてくれた優しさにたいする感謝の気持ちで胸がいっぱいになった。
「ありがとうございます。紅炎様」
ああ、やっぱりこの人に仕えてよかった。
「ありがとうございます……!」