クラルディー

□第一章 スルート王国首都
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チェリーこと、チェリアメル・アジェス・スルート。
少し癖のある茶髪と、浅葱色にも水色にも見える瞳を持つ。
明日には十六回目の誕生日をむかえる、スルート王国三十一代国王第一王女である。

彼女が、この物語の主人公にあたる人物だ。








ふと気がつくと、白いワンピースを着て、何も無いところにいた。

「ここ、どこ?」

見覚えのない荒れ果てた城の中。

そこには、赤い瞳の金髪の少女と黒い髪と瞳の少年がが立っていた。二人は、チェリアメルよりも少しだけ年上に見えた。
少女の服装は、短い丈の白いワンピースに七分丈の黒いズボン、茶色のショートブーツだか、何故かボロボロであった。少女は赤い水晶玉を両手で持っていた。
対して少年は、灰色のシャツに黒いスカーフタイをして、足元まである、少し色の抜けた黒いズボンを身につけ、レイピアほどではないが、刀身の細い剣を右手、黒い水晶玉を左手に持っていた。少年の服や剣には、ところどころ、赤黒く染まっていた。

「?」

チェリアメルには、二人に見覚えがあった。
だが、どこで見かけたかは思い出せなかった。
彼女が考えこんでいると、金髪の少女が、口を開いた。

「どうして、あなたのご両親や、国民を…!答えて!ケルア王国第一王子、ケイ・レド・ケルア!」

すると、少年…ケイはクスクスと笑いながら少女に問いかけた。

「寂しいな、いつもみたいにケイって呼んでくれないの?スルート王国第一王女、ルナーヴィ・アジェス・スルートこと、ルビー?」

どうやら二人は親しいようだ。
恋人まではいかないが、並の友人ではなさそうな…
親友といえばよいのだろうか?

チェリアメルが考えていると黒い少年…ケイが水晶玉に話しかけると水晶玉は微かに光り、そのあと掌に乗るくらい小さな少女に姿を変え、ルビーの持つ赤い水晶玉も同じように小さな少女に姿を変えていた。

少女達が二人の横に浮いたあと、ルビーはワンピースの裾をめくり、中に隠していた短剣を二本取り出し、構える。
それを見たケイは持っていた剣を構えた。

「ケイ。」

構えたまま、ルビーがケイの名を呼ぶ。彼女の赤い瞳は悲しげに揺れていた。

ーもしかしたら、この二人は…
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