novel

□一番最初
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夜中に目が覚めた。





体を動かし床を見ると、ギュービッドさまは、ヒューヒューと口笛のようないびきをしていた。





「ふっ」




ギュービッドさまって黙ってれば美人なのに、なんで口を開けばああなんだろう。





せめて、真っ黒なコートはやめ、可愛らしい服着れば、エクソノームさまも気持ちが揺れると思うけどなぁー




なんて考えながら、窓の方へ寝返りすると




「あ…雪」



小さな声でつぶやいた。





窓の外は、雪が降り始めていた。




そーっと、体を起こし、窓を開ける。



「わー」



まだ、降り始めだから積もっていないが明日は積もるだろう。




しばらく振り続ける雪を眺めていたら、声をかけられた。





「黒鳥さん夜中に何してるんだねぇ」


声の主は向かえの部屋の大形くん。



「大形くんこそ、なにしてるの?」




「人の気配がしたから起きてみたら黒鳥さんがいたねぇ」




人の気配がしたら起きるもんなんですか?





あれ?待てよ…



たしか桃花ちゃん、大形くん低血圧だから起こすの大変、とか言ってなかった?






「それより…」



スルーですか。



「明日はホワイトクリスマスになるねぇ」




あっ、そうだった。


明日クリスマスなんだっけ。





「…さすが、記憶レス少女だねぇ。自分の誕生日すら、忘れるんだねぇ。」





馬鹿にしてるの?それともけなしてるの?





「でも僕は忘れないねぇ」


「そうだねぇ。黒鳥さんの誕生日だけ忘れないねぇ」





えっ。それ…





チッ、チッとなる時計の針は12時をさした。





「お誕生日おめでとうだねぇ…黒鳥さん」




「ッ///あ、ありがとう…」



「もう、遅いねぇ。黒鳥さんも寝たほうがいいねぇ。」




「う、うん。おやすみ、大形くん」




「黒鳥さんッ…おやすみだねぇ…」






”好き”という言葉を飲み込み、おやすみをいった。


































君に一番最初に『おめでとう』を言いたくて、雪を降らせた。

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