アキラの誕生日

□アキラの誕生日(最終話)
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宵闇が訪れる頃、鰐館ではアキラの誕生日及び成人の祝いの宴が繰り広げられていた。
セベクが血相を変えた理由、それは成人の祝の方にあった。
この時代のものは誕生日云々より成人の祝の方に重きを置く。
アキラの為に一日で設えた宴は、それはそれは豪華なものだった。

各夫君から贈り物が捧げられる。
アビスからの蒼玉のアンクレットとアペシュ夫人からの真珠の腕輪はそのまま身につけた。
アポピスからの贈り物は珍品、水晶に閉じ込められた砂漠の薔薇《デザートローズ》
アキラの好みを知り尽くした節足系の夫達は守護獣(?)を贈ってくれた。
中でもケプリの贈り物、玉虫色のスカラベは特に気に入ったようで、狂喜乱舞している。
相変わらずそっちか……と溜息をついた夫達がいたとか、いなかったとか。


成人の祝の宴は7日続くという。
露骨に嫌な顔をしたアキラに、
「おまえが悪いんだぞ! 」と、セベクの喝が落ちる。
改めて贈り物を持って来る夫もいる。
アペデマクもそうだ。
今回は見事な琥珀を献上したが、本当の贈り物はメガテリウム。
巨大ナマケモノだ。


疲れ果ててぐったりしたアキラを抱いて沐浴させているセベク。
セテフがいるというのに珍しくセベクがアキラの世話をしている。
第一夫の余裕か、宴の最中もアキラを束縛しなかった。
放っておいても必ず帰って来る。
アキラへの信頼と愛。

そして抱き合って、絡まりあったふたりは今宵も激しく愛し合う。
「セベク……すき。」
騎乗位で繋がって、対面座位に移行する。
愛しげに抱きすくめていてふと、セベクが口を開いた。
「アキラ……誕生日の贈り物は何が欲しい? 」
少しの間が空く。
「僕……セベクの赤ちゃんが欲しいな。」
息を呑んだセベクの剛直の嵩が増す。
アキラを仰向けに横たえると大きく開脚させて激しい抽挿を始めた。
耳の良い他の夫達に聞こえるような嬌声が響き、甘い啼き声が漏れて、皆の悋気を煽っていた。


丁度一年後の6月18日。
アキラは金色を纏った鰐獣人の赤ちゃんを産み落とした。
はじめての、胎生の鰐獣人。
その血は現在も、引き継がれているという。



end

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