鰐王の憂鬱

□鰐王の憂鬱 5 産卵
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獣人達が一斉に発情期を迎える春から夏にかけて、アキラを己が手元に置きたいと願う夫達は水面下での熾烈な攻防を繰り広げていた。
それに気づき、解決案を示したのはアキラ。
自分が “ 景品 ”だということを十二分に理解して提案したのは “ クジ引き ”
確かに決闘されるよりは随分と気が楽なのだろうが……
元より武闘派の夫達は納得出来ない。
やはりアビスがキレた。
「どういうことなんだよ?
俺は承知しないぞ!
だいいち、俺らは闘って雌を勝ち取る、そういう生き物なんだよ‼︎ 」
「それ! それだよ!
アビスやセティやセベクみたいにすっごく強かったらいいけどアポピスやヘデデトみたいにそうじゃないひとはどうするの?」
アビスの顔が妙に歪んでいく。
まるで笑うのを我慢しているかのようだ。
そして何かを言わんとしたアビスをアポピスが睨みつける。
「もし怪我でもしたらと思うと……僕、胸が痛むよ。」
そんなことはあり得ない。
それはこの場に居る、アキラを除いた皆が知っている。
アポピスもヘデデトもセベク等と並ぶ超一流の武人なのだ。
麗しい見た目と若い見かけに騙されてはならない。
彼らは “ 砂漠の悪魔 ”と “死神 ”なのだから。

「ほら。」
人数分の細棒が差し出される。
「僕が握っているこの部分に刻みを付けてある。
“ 一 ”と “ ニ ”と “ 三 ”
三人選ぶからね。
恨みっこなしの、文句なし。」
アキラの手の中のクジをまずはセベクから引いていく。
確固たる序列があるのかクジを引く順番で揉めることはなかった。
皆が引き終わり、一斉に掌を開けさせて改めてみると……
見事、一番クジを引き当てたのはセベクだった。
その後、二番アポピス、三番アペデマクと続く。
「見事、僕を引き当てたのはセベクでした‼︎
発情期はどのくらいで満足するの?
次のアポピスのところにはいつ頃行けるのかな?」
アキラは獣人の発情期を甘く見ていた。
彼らは雌が孕むまで満足しない。


「まさか叔父上も俺もハズレるとは……
頭にくる。
拉致って来ましょうか? 」
アビスは、腕組みをし厳しい顔つきのセテフを伺い見た。
「お止め。戦争になる。
まあ、なったとしても負けはしないが。」
そしてその後、ラーの愛を失うだろう。
もしそのような事になったら?


セベクとアキラ。
ふたりは手をつないで寝所へと向かっている。
中庭の泉のほとりに用意された飲み物や軽食。
そして今夜は褥まで用意されている。
十五夜の月の光に照らされてふたりの唇が重なった。

屋外の褥でアキラは身体を拓かれようとしている。
セベクの前戯はいつになく執拗だった。
舌が蜜壺に埋まり前立腺を凌辱している。
「セベク……ぅ……ちょうだい……おねがい…… 」
手足をばたつかせて暴れるアキラを押さえつけてセベクは愛液を啜っている。
「堪え性がないな。
一度イっとくか?」
セベクの手が花芯にかかって軽く扱かれる。
「それ、やだ…… 挿入れ……て。」
「おまえって奴は…… 」
耳まで裂けるかと思えるほど笑む。
虹彩は縦に細長くなり、鱗が立った。
アキラの脚を抱えて、滑らかな肌触りの太腿に舌を這わせる。
そして一気に挿入っていった。
「あーっ、あーっ……あ、ああ…… 」
身体を痙攣させて白蜜を噴き上げる。
ぴゅくぴゅくと花芯を上下させて溢すさまを愛しげに見つめるセベクは思わず舌舐めずりした。
剛直が律動を開始する。
セベクの鱗がまるで生き物のように蠢いてアキラの精神を剥いでいく。


「あ……は……あ、あん…… 」
繋がったままのアキラを抱いてセベクが泉に入っていく。
水に浸かった部分の獣化が進んでいく。
長い尾が水面を叩き、セベクの身体中の鱗がみるみる硬質化していく。
泉の浅瀬にアキラの身体を横たえ、覆い被さったセベクの全身は半獣化しつつあった。
アキラのなかの剛直も嵩をます。
「アキラ……大丈夫か?
痛まないか? 」
半獣の鱗が柔な肌を擦って赤くなる。
それを泉の水が緩和した。
喘ぐアキラを何度も何度も啄ばんでセベクが囁く。
「目を瞑っていろ……
決して開けるんじゃないぞ。」
律動が激しくなり、アキラはセベクの腕を必死に掴んだ。

半身を水に漬けて、激しく貪っているのは
半獣化した鰐人だった。
ギザギザの歯が並んだ口を噛み締めて肉筒を犯している。
「きもち……いい……いいよぉ……いい…… 」
譫言のように繰り返して喘ぐアキラの嬌声が突然悲鳴に変わった。
「いやーーーっ! きゃーーっ‼︎ 」
目を見開き、口から泡を吹く。
全身をガクガクと痙攣させて……
動かなくなった。
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