ー神々の黄昏ー
□神々の黄昏
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「う……え……? 」
そこにはにっこりと笑むセティの姿があった。
「やっと見つけた。」
見慣れた姿より幾分小さい、だが2mはあるだろう、セティの姿。
よく見ると肌色が幾分薄い様な……
でも、紛れもなくセティだ。
ワナワナと身体が震えだす。
「驚きのあまり声も出ないってか?
このまま担いで帰ろうか? 」
この、腰にクる低音の声は……
「セベク ‼︎ 」
慣れ親しんだ縦抱きに抱き上げられる。
セベクもバレーボールやバスケットの選手で通るほどの身長だ。
そして何よりも肌の色が日焼けした肌色で鱗がない事。
髪色や目の色は同じのようだ。
「ラー、最初に呼ぶ夫の名前は私ではなく、セベクなのか? 」
セティのムッとした声。
たった一年しか経っていないのにこんなに懐かしい。
「アキラ。久しいな。
里帰りなのか、家出なのか、どっちにしても永すぎるんじゃないか?
お前、あれから何年たったと思ってるんだよ? 」
「アビス! 」
そこにいたアビスは、以前より逞しい青年となり、精悍さが加わっていた。
背はセティよりも高い。
そして、やはり肌の色が僅かに浅い。
だが、目の色もアイラインも以前と変わりなかった。
「何年って……1年……? 」
「バカか?お前。」
人差し指で、頬を突つかれる。
「12000年も放ったらかしにして、後で憶えてろよ? 」
ニヤリと口角をあげるアビスは……あの時以上にセティに似てきている。
なんか……別の意味で涙が出てきた。
「preciousを虐めないで下さい。
この、下等動物が。」
「なんだと⁉︎ この鱗野郎‼︎ 」
きゃー!
アポピスとアビスが喧嘩始めたー‼︎
「ほらほら、そんなに騒いだら注目の的になっちゃうよ?
ちい姫……会いたかったよ…… 」
「デンウェン……」
デンウェンもアポピスも皆に合わせて身長を縮めている。
ベージュの肌に濃緑の髪。
最近はこういう色に染める人も多いのでさほど突飛な色ではない。
アポピスも変わりはない。
引き摺るほどの白銀の髪を頭頂でポニーテールにしている。
そして二人ともに一枚の鱗も見られない。
皆はあの世界の正装で身を包んでおり、以前と違うのは装飾品を身に着けている事。
全員が僕と同じようなネックレスを着けている。
セティとアビスは全く同じものだろう。
セベクはアクアマリン?
デンウェンはエメラルド。
アポピスはルビーだ。
ブレスレット替わりの手甲をつけていてアポピス以外は腕輪もつけている。
アポピスは、相変わらず長衣。
ジロジロと見つめているだけの僕に焦れたのだろう。
「さあ、参りましょう。」
アポピスが事無げに言うが。
「ちょっと待って!どこいくの? 」