皆様、長い間【マアト・ラーの夫君たち】をご愛顧いただき、ありがとうございました。
今回はお礼のSSです。
アキラの精神が幼児化していた時、夫たちはどうしていたのか?
今回はアビスとの1日です。




丈の高い椅子でブラブラさせていた足から、サンダルが落ちて、パタンと音を立てた。

「あ〜、また落ちた。おイタは駄目って言ってるだろ」

跪いたアビスがサンダルを拾って履かせてやる。
実は先程から、この行為を繰り返しているのだ。
何が面白いのかさっぱりわからないが、アキラが小言を聴く様子はない。

「ア……ビアビ」

跪いたままのアビスが見上げると、アキラは両手を差し出して笑顔を見せた。

「ん? 抱っこか?」

立ち上がりながらアキラを抱き上げ、テラスに向かって歩き出した。
その足元には、わざと脱ぎ捨てたサンダルが転がっている。


アキラの心臓が一度止まって……再び鼓動を回復させてからもうすぐ一年になる。
初めは本当に赤子と変わりなく、泣くだけだったアキラがようやく幼児並みになって半年は経つ。
しかしそれから目立った回復は見られず、このあたりが回復の限界だろうとクヌムは言っている。


中庭にはアキラのための遊具が備えられていて、今はブランコがお気に入りだ。
それを指差すアキラの意を汲み、アビスは足早に近づくと座部に座らせた。
ゆっくりと揺らしていき、アキラが喜びの声をあげる。
それを見下ろすアビスは、口許に笑みを浮かべていた。


「もっと、もっとー!」

後ろでアビスに押してもらいながらも、もっと押せと催促する。
だんだんと振り幅が大きくなり、アキラのはしゃぐ声がする。
そして。

「びゅーん!」

前に振られた、その頂点で手を離し前に飛び出るアキラ。

「あっ! こらっ!!」

「きゃーん、わあっ!」

短く刈りそろえられた下草の上、裸足のアキラが着地して、クルリと一回転。
アビスがキャッチする間もなく座り込んだアキラはニコニコ笑っている。

「おまえ〜 危ないじゃないか」

素早く抱き上げて、怪我がないか身体を弄っていると、アキラが嬉しそうに抱きついてくる。

「アビアビ〜 次、あっちー」

アキラが指差すのは、セパが造ったキリンの遊具だ。
その背に乗せてもらい、首を伝って登り滑り降りてくる。

「おい、やんちゃしてると怪我すっぞ。
いい加減にしろってば!」

「きゃぁーっ、アビアビ〜!」

また登って、滑り降りてくるかと思えば、ずいぶん高いところからアビスめがけて飛び降りてくる。

「おーっ?! おいっ!!」

慌てて聞こえるのは声だけで、事もなく余裕すら持って抱きとめたアキラは、アビスの腕の中で抱きついてくる。

「おまえ〜っ、あんなところから落ちたらただじゃあ済まないんだぞ。
こら、聞いてるのか? アキラ!」

腋の下を掴んでアキラをぶら下げて、さすがに怒り心頭といった様子で睨みつけている。
だがアキラは、そんなアビスに向かって笑いかけたのだ。

「だってぇ、アビアビ……落とさ、ない」

「ああ、もう!」

なんてかわいい奴なんだと、アビスは頭を掻き毟りたくなる。
舌打ちして、踵を返した。

「あん、まだ遊ぶ〜 」

「もう陽が傾いてきただろ?
こんなに汚れて…… 風呂に入らないと夕餉に間に合わないぞ?」

「お風呂?」

「ああ、洗ってやる」

「お風呂、鳥さん持っていく」

これは本物の鳥ではなく、セパが作った木製の鳥だ。
最近のアキラのお気に入りで、湯槽には必ず大小数羽浮かべて遊ぶ。

「ああ、黄色いヤツな。
心配しなくても、もう浮かんでると思うぞ」

「アビアビ、お風呂早く早く!」


アキラの為の湯殿には色々なおもちゃが置いてある。セパの手によるそれらは綺麗に彩色されてアキラの訪れを待っていた。

「きゃーっ! ざっぶーん!!」

飛び込もうとするアキラを抱き留め、湯をかける。
待ちきれないアキラに抵抗されながらも、泥で汚れた手足を洗い流し、洗った。
それからようやく湯槽に浸かる事を許すと、アキラは助走をつけて飛び込んだ。

「このやんちゃ坊主!こうしてやる!!」

無理やり湯槽から引っ張り出して、シャンプーの実で作った洗体液をぶちまけ、アキラを泡だらけにする。
全身くまなく洗い上げて、くすぐったがるアキラの声が色を孕んで、その場の空気が変わった。
そのまま籐の寝椅子に運ばれたアキラは、泡の代わりに香油を塗られ、それを広げるアビスの指の動きに反応する。

「あん、いやぁ」

乳輪を弄り、乳首を摘まれてアキラが身をよじる。
アビスに覆いかぶさられ、その舌が耳朶を捉えた時、小さな身体が跳ね、控えめな喘ぎが口をついた。

「あぁん……アビアビ〜」

アキラに名を呼ばれ、腰にグッとくる。
思わず、自分が付けた噛み跡に唇を寄せて吸いついた。
痛みに暴れるアキラを押さえつけ、その身体から香る芳香に酔いしれながら、アビスは肌の甘さを味わった。

「アビアビ、いたいよ」

べそをかきはじめたアキラを宥めながらも、行為自体を止める事はない。
どこもかしこも甘いアキラの身体を堪能するように全身を舐め回して、アビスは興奮を抑えられない。

「アキラ、かわいい」

また乳首に戻ってきて、丹念に舐め回しながら花芯に触れる。

「ひゃっ!」

だがアキラは暴れようとはしない。
彼はちゃんと知っているのだ……この行為がとても気持ちよくなる事を。

そろそろと花芯を扱きながら、アビスの舌は臍を捉える。
そっと蒼玉を外して舌を差し入れた。

「あぁーーん!」

あり得ないほど身体をガクガクと痙攣させて、アビスの口の中に白蜜を吐き出しながら足を突っ張らせる。
それは何度も空をかき、背を仰け反らせて絶頂してみせるアキラを、アビスは息荒く抱き寄せた。

アキラの膝を割り、その間に身体を滑り込ませる。
香油をアキラの下腹にぶちまけ、その身体を深く折った。
太腿と太腿をぴったりと合わせ、僅かにデルタとなった、アキラの脚の付け根の隙間に己の摩羅を挿し込み扱き始める。

「ああ、アキラ……善い」

アキラと情交を交わすにはいくつかの方法がある。
夫たちでの申し合わせにより、後孔を使ったまぐわいを禁止されているため、こうして素股を使うものが多い。
アビスも双丘の狭間の、蟻の門渡りから花芯にかけてを擦りながら、太腿同士を強く押し付けて腰を使う。
ぴちゃぴちゃと香油の摩擦音が耳を刺激し、限界を迎えた摩羅が一際膨らんで、爆発するように白濁が吐き出された。

「あぁ、善い、善いっ! アキラ!!」

腰の動きが止まなくて、すぐに2回目に移行しまた暴発させると、ようやくドロドロになったアキラの股間から摩羅を引き離した。

「アキラ、きもちいいか?」

半勃ちの花芯がぴょこぴょこと動いている。
向き合った形で、アビスはアキラを膝に乗せ、密着している性器を2本一緒に握り込んだ。
そのまま、一緒に扱く。
兜合わせで刺激された花芯はすぐに硬くなり、また透明の涙を流した。


「アビアビぃ……ぼくぅ」

そうしてふたりは夕餉の卓に姿を現さず、ひたすら悦楽に溺れる。



何度も絶頂を迎えたアキラがぐったりして横たわると、アビスは軽く後始末をしてから抱き込んだ。
……いつの間にかうとうとしていたのだろう。
腕の中のアキラがグズグズと泣く声で目が覚めた。

「アキラ……どうした?」

加減したつもりだったが、どこか傷つけてしまったのだろうか。
アビスは素早い動きで身を起こし、アキラを膝に乗せた。

「アビアビ〜 おなかすいたよ〜」

涙で頬を濡らし、鼻水を啜っている。
食欲には貪欲なアキラは、こうなると与えるまで駄々を捏ね続ける。

「ああ、ごめんな。
厨所に行けば何か残ってるだろ。
ちょっと行ってもらってくるわ」

「一緒にいく」

「ん〜? そうだな……」

あたりを見回すと、ちゃんとふたりの着替えが用意してあった。
灯りも燈されているのだ。
配慮されていないはずがない。
アビスは腰布を身につけ、アキラに紐パンをはかせて、縦抱きで厨所に向かう。

厨所ではもう朝食のために動き出していた調理人に豆のスープとオムレツをもらい、薄パンも添えて居間に向かった。

従者のいない、ふたりきりの食事はアキラの旺盛な食欲をからかう事から始まった。
こうして、幼いアキラを養育し妻としての教育も施していく。
そしていつの日か、彼が元に戻る日を夢見ているのだ。


ー終ー

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