低級ノルウェー語講座
□低級ノルウェー語講座(改訂版)
補遺五
本家も新家も正統(形容詞名詞)
さて、当講座はタイトルの説明文にある通り、ノルウェー語と呼ばれる言語の内のbokmål(書籍言語)について紹介しています
カタカナではブークモールとかボークモール、ボクモール等と表記されますが、オイラは最初にブックモールと覚えたのでブックモール(以下、略号は(B))で押し通しています(笑)
しかし、ノルウェー語をいくらか学習した方はご存知のように、現在ノルウェーで公用語とされているノルウェー語にはもう1つ、nynorsk(新ノルウェー語)というものが存在します
こちらはニーノルスク、ニューノルスク、ニーノルシュク、ニーノシュクと様々な表記がされます(以下、略号は(N))
圧倒的に使用者が多く、日本も含めた外国で学習されているのはbokmålなのですが、特に西ノルウェーではnynorskが根強く話されているようです
では、どうして2つの公用語が存在するのか
大雑把に説明しますと──
西暦1380年から430年少々の間、ノルウェーはデンマークの政治的支配下に置かれていました
そのために教会や行政、立法といった公式の場においてはデンマーク語が使用されていたのです
しかし1814年にデンマーク・ノルウェー連合が解消します(完全な独立ではなくスウェーデンに引き渡される形になった)
そこで自分達の言語を取り戻そうとする気運が高まりました
Ivar Aasen(イヴァール・オーセン)という人物はノルウェー語らしいノルウェー語を創造しようとしました
故郷で使われていた古い形を残す方言を基に文法書や辞書を作り、それを規範形として「国の言葉」──landsmål(ランスモール)と呼んだのです
一方でknud knudsen(クヌート・クヌーセン)は大幅に言語を変えるよりも、最早馴染んでしまったデンマーク語をノルウェー語化しようとします
そうして作り出した言語を「国家の言語(標準語)」としてriksmål(リクスモール)と呼びました
因みにイプセンが用いたのはこちらです
landsmålが更に色々な地方の方言を取り込んで出来たのがnynorskで、riksmålの脱デンマーク語化が促進されたものがbokmålなのです
つまり`新´なんて名乗っていますが、実質的にはnynorskの方が古風と言えますね
因みにlandsmålはほぼ完全にnynorskに吸収されていますが、riksmålは公用語と認められていないながらも、bokmålとは別の「最保守的言語」として併存しているようです
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