短編
□躾
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「エレン‼︎」
ミカサと普通に廊下を歩いていたエレンはテンション高めのハスキーボイスに肩を揺らす。
「は、ハンジさん…」
エレンは苦笑いを浮かべながら振り返るとハンジはいつもの笑顔で立っていた。
「あれ、もしかしていい雰囲気邪魔しちゃった?」
ニヤニヤと笑いながら肘でエレンを小突くと若いもので、赤くなって否定をする。
ミカサも無反応を装うが少し顔を俯かせている。
「じゃあちょうどよかった、今回生け捕りにした巨人(あの子)の話をしたかったんだ‼︎」
エレンはその言葉を聞いた瞬間いつぞやのデジャヴュが頭の中を巡る。今は昼過ぎ程、しかもハンジのストッパー役のモブリットが居ない。
最低でも日の入りと日の出は目に焼き付ける始末になるであろう。
「いや、あの「しかもね、今回は大変興味深い実験を出来たんだ‼︎」
今日はちょっと、と言うのを阻止するかの如くハンジは声を被せる。
しかもどんな実験だったのか聞きたくなるように好奇心をくすぐるような言い方をする。
「それは、人類(私達)の役にたちますか…?」
エレンが聞くか否かを迷っていると、ミカサが口を開いた。
そうだった、ミカサはまだハンジさんに徹夜を強いられた事をなかったんだったと今更ながらミカサへの注意を怠った事を後悔する。
そうエレンが思った瞬間、ハンジの目は輝き息は荒くなり頬は紅潮している。
「あぁ‼︎私達の実験は常に人類存続の道へと繋がっていることは確かなんだ‼︎」
「じゃ、お願い…します。簡潔に」
エレンの制止の言葉はかけられることもなく、二人で話は進んでしまった。
しかし自分にも好奇心があった事は本当だったと、半ば諦めて話を聞くことにした。
ただ、本当に簡潔に言ってくれる事を願って。
〜ここからはハンジさんの実験結果が"少し"続きます〜
「まず、今回生け捕りにした巨人の名前はルーク‼︎あ、今回はソニーとビーンの時のような失態は起こらないよう兵士がずっと見守ってるよ‼︎で、今回のルークとの実験で分かった事とはね、意思疎通の件でなんだ‼︎まず、以前兵士から聞いた情報ではね、兵士が言った悪口に巨人が反応したって話を聞いてたんだけどさ、今回も今までの実験通り最初に意思の疎通の実験を行ったんだ、でもやっぱりルークも私を齧ろうとしてくるんだ、で、ふと兵士に聞いた事を思い出してルークに悪口を言ってみると少し動きが止まったと思ったら急に私への攻撃が増してね‼︎やっぱり巨人は私達の言っている言葉が分かるんだよ‼︎でも個体差があるみたいで少し賢い巨人だと悪口とかに反応するんだ……………」