季節

□ハロウィン 4
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「右衛門左衛門、トリック・オア・トリート」
「姫様、それはなんでしょうか?」

右衛門左衛門はいつものように屋根裏から答えた。

「まさか、意味が分からないんじゃないでしょうね。まあいいわ。じゃあ、お菓子もってる?」
「お菓子…ですか」

右衛門左衛門は今お菓子を持っていない。

「なにーまさか持ってないの?信じらんない。」

否定姫はそう言って少し上を見た。
しかし、すぐに視線を外にずらした。

「申し訳ありません」
「謝んないでよ。わたしが悪いみたいじゃない。」

そういって持っていた扇子を広げた。

「トリック・オア・トリートってのはね。外国の言葉でお菓子をくれなきゃ悪戯するぞって意味なのよ。」

最も、最初からあんたがお菓子を持ってるとは思ってなかったけど。

「そうですか」
「ああ、そうそう。最初からあんたがお菓子をくれるとか思ってないから。」

半笑いで言った。
わたしは、あんたをいじめやしない。
その分の体力がもったいないから。
そういえば、あの不愉快な女は…

「ねぇ、あんたは知ってる?」
「何がでしょうか?」
「あの不愉快な女、あの言葉の意味ちゃんと分かってないのよね。ちぇりおみたいに。
なんかねー殺人の前の言葉だと思っているのよ。」

ほんと、馬鹿よね。
その馬鹿よねを少し強調したような気がする。

「そうですか」
「あら?本当にそう思ってるのかしら?まあいいわ。さて、何か甘いものでも買ってきて。」
「わかりました。」

右衛門左衛門はそう言うと屋根裏からいなくなった。
 

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