□この世界には2人だけでいい
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「華菜、一緒に学校いこうや」
「うん」

華菜と財前は学校への道を歩く。

「なあ、華菜…めっちゃ好きやで」
「えっ……」

華菜の顔は真っ赤。
いきなりこんなこと言うなんて不意打ちだ。

「わ…わたしも…」
「俺と同じ気持ちか?」
「うん」
「そか」

財前は笑った。
だが、いつもと違う雰囲気がした。

次の日

華菜は財前からのメールで起きた。
―おはよーさん 今華菜の家の前にいるから―

と。
パジャマのままだから急いで着替えて、髪を直して………

「ごめん遅くなって」

華菜は玄関から飛び出した。
財前は大きなバッグを持っている。

「大丈夫やで。寝てたんやろ?」
「うん…」

目の前にいるのは間違えなく財前光。
なのに…
なのに、何か違う。

「ひ…かるだよね?」
「そうに決まってるやろ。華菜は何変なこと言ってるんや?」

雰囲気?
違う。
光じゃなくても周りが…

「なんで、こんなに静かなの?」
「それはみんないないからや。」
「どうゆうこと?」
「俺だけが、華菜のこと知っていればいいんや。」

光の言っている意味が分からなかった。
でも、これ以上光の前にいてはいけない
本能がそう言ったように思った。

慌てて家に入り、玄関に鍵をかける。
そして、リビング、キッチン、寝室……
どの部屋にも姿がない。
お母さんとお父さん…そしてペットの犬も。

「お母さん…?おとう…」
「華菜のオトンとオカンはどの部屋にもおらんで。」

背後から光の声がした。
おかしい。
そんなはずはない。
そう思いながら振り返る。
背後には光がいた。

「な…どうやって…鍵は、かけたのに…」
「華菜の家の鍵なら持ってるしな。入るのは簡単や」

鍵をポケットから出していった。
それは間違いなくこの家の鍵。
しかしそれよりも…

「どの部屋にも…いないって……どうゆうこと?」
「言った通りや。まぁ、今はこの部屋か」

華菜は部屋を見渡してみる。
しかし、姿はない。

「どこ?」
「ここやで」

そう言って華菜にバッグを渡した。
バッグはとても重い。
ゆっくりとバッグを開けるとそこには……
親の……


はっ…
華菜はここで目を覚ました。
さっきまでの出来事は夢…だったのだ。

「いくら、お母さんたちが仕事から帰ってこないからって…あんな夢を見るなんて」
 

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