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□最後のたこ焼き
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「やっとねーちゃんと一緒にたこ焼き食べに行けるで!!」
金ちゃんはそう言いながらはしゃいでいた。
「はしゃぎすぎだよ」
「しばらくねーちゃんと会えんかったし…
久しぶりにねーちゃんとたこ焼き食いに行けるんやから当たり前や」
華菜は最近まで病気で入院していた。
そして退院したら金ちゃんとたこ焼きを食べに行くと約束していた。
今日がその食べに行く日
「そうだね。」
「おん。そうや!ねーちゃんが入院している間になめっちゃおいしいたこ焼きのお店ができたんや!はよ行こ!」
華菜の腕をつかんで金ちゃんは走り出した。
「ちょっと金ちゃんはやいって!!」
と笑いながら言う。
実際足がついていかないので転んでもおかしくないのだが…
そういえば
入院していたのは半年なのだが、最後の二ヶ月は金ちゃんとだけ電話のやり取りになっていた。
白石部長や財前くんはお見舞いに来てくれたのに…
「あっ、ついたでここや」
考え事をしているうちにたこ焼き屋に着いていた。
「今日はワイがねーちゃんにたこ焼きおごったるからな」
と言って店に入った。
お店の中にはたこ焼きの匂いに満ちていた。
これも久しぶりだな。
華菜がカバンからお財布を出そうとすると
「今日はワイが買うってさっき言ったやろ」
と金ちゃんが財布をもつ華菜の手を抑えた。
「いいよ、自分で買うよ」
「ええんや、今日で最後なんやから…」
「最後って……なにそれ、これからも一緒にたこ焼き食べるんでしょ。」
ムーと華菜は頬を膨らませた。
「あっ!ねーちゃんがリスになった」
金ちゃんが笑っている。
それにつられて華菜も笑った。
最後…というのは聞いてないことにすることにした。
結局金ちゃんがたこ焼き代を全額出してくれた。
今までは割り勘か華菜が出していたのに…
「ねーちゃんはよ食べんとワイが全部食べちゃうで」
金ちゃんはいつの間にかたこ焼きを買っていた。
さすが金ちゃんはやいな
なんかわたしぼけーっとしてるのかな?
「それはダメだよ!!私も食べる」
華菜は金ちゃんからたこ焼きをとった。