□ウソでしょ……
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「久しぶりに書けた!!」

華菜は部室で部誌を書いていた。
と言っているが実際は別のものを書いていた。
それは誰にも言えない華菜の秘密。
知られたくもない………
バン!!

「キャ!!」

音とほぼ同時に悲鳴をあげた。

「ビックリするやないか」
「あっ、謙也か…」
「俺で悪かったな。あっ金ちゃんが華菜と試合したいんやろ。」
「そうなの?分かった今いく。」

部誌とさっきまで書くのに使っていたノートを閉じた。
この時ノートをバッグにしまっておけばよかったと後々思うのだ。

「謙也や財前やと相手にならんからねーちゃんがいてくれてよかったわ」
「そうかな?わたし謙也よりも弱いと思うけどな。」
「えー謙也は速いだけでねーちゃんよりもテニスは下手やで。」

グサ……
謙也のハートがこの時傷ついた。

「あはは…練習付き合うのは全然いいけど超ウルトラグレートデリシャス大車輪山嵐は禁止ね。」
「わかったで」

金ちゃんのあの技をここで使ったりしたらテニスコートが壊れる。
いつだか忘れたけど、金ちゃんの技が原因でコートが使えなくなったくらいだ。
こうして2人がボールを打ち合う音がこだまし始めた。
まあ、いろいろあるだろうがそこは今置いといて。

「今日こそはねーちゃんに勝つんや!」
「うんうん。がんばれ」

華菜は笑顔で答える。
こうして続けること10分……
ついに決着がついた。
あっ、言い忘れたけど一球勝負ね。

「う…また負けてしもーた」
「あはは…ごめんね。さて、わたしは仕事に戻るね。」
「おん。ねーちゃんおおきに」
「いえいえ。謙也、ラケットかしてくれてありがと」

ラケットを謙也に投げると華菜は部室に戻った。
そして部室のドアを開けると……

「金ちゃんの相手してくれておおきにな。華菜がいてくれて助かったわ。」

白石がいた。

「いいんだよ……って、あっ!!」

華菜は白石が持っているものを指さした。
それは部誌と一緒に置いておいたノート。

「どないしたん?」
「そ…そのノート……」
「このノートか?これ誰が書いたんやろうな。」
「かえして!!」

華菜は白石の手からノートを取ろうとした。
しかし、この身長差ではそれは難しい。
白石らしい無駄のない動き?でよけられた。

「やっぱりこれ書いたんは華菜やな」
「…………」

顔を真っ赤にしてうつむく。

「自分の顔トマトみたいやで。」
「ト…トマト!!だと」
「まっ、続きが書けたら見せてな。」

そう言って白石は華菜にノートを渡して部室から出て行った。
ノートをめくるとところどころ赤で直されている。

「もう二度と見せない!」

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