おりまに(過去&未来)

□真庭海獺の場合
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俺っちはこの里で生まれた。
真庭の里で…

それから20年後のある日

「俺っちはいつになったら男になれるんだろう」

俺っちはそんな事をボソッと言った。

「多分一生無理じゃない?」

と言ったのは雛鳥だ。
綺麗な金髪に青い目のかわいい女の子。
俺っちの……

「はあ?かあさまはいつか男になれるって言ったぞ」
「何百年後とかなら出来るんじゃない?」
「そんなに待てねえ」
「あっ、海獺ちゃんこの前の貝美味しかった。ありがとね」
「別に」

俺っちはぷいっと雛鳥のいない方を見た。
あいつに俺っちの気持ちは一生わからない。
男にならないと好きな子と結婚することが出来ない俺っちの気持ちが…

「出かけてくるわ」
「分かった、気をつけてね」

雛鳥は俺っちに向かって笑いかけた。
今その笑顔は俺っちだけにむけたもの。
それがどれだけ嬉しいか。
少しニヤケながら俺っちはいつもの場所に来た。
ここには俺っちが養殖してる貝たちがいる。
そこから良さげな貝を取って腰につけている袋に入れた。
そして来た道を戻った。

里の入口のところに雛鳥がいた。

「海獺ちゃん早かったね」
「ああ…また貝拾ったからやるよ」

俺っちは雛鳥に腰に付けていた袋の中から貝を出し、わたした。

「ありがとう」

そう言ってまた笑ってくれた。

「あのな!」
「どうしたの?」
「俺っち…ひな…」
「あっ!鳳凰様だ」

俺っちが言い終わる前に雛鳥は走っていった。
その先には鳳凰様がいる。

「おかえり!」

とさっきまで俺っちに向けていた笑顔を鳳凰様にむけた。
いつか男になったら…
俺っちにチャンスは来るのだろうか…


あとがきになります
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