過去と未来と今

□☆名前の呼び方
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それは全国大会も近くなった部活終わりの日のこと
諸事情あり、その日は3年生がいない日だった。

「幸村せん…」
「だから、下の名前で呼んでってば」
「名前ですか…流石に先輩に対して…」
「敬語もやめて、ため口でいいってば」

かなは幸村と部室で話していた。
近くには赤也や真田などテニス部のメンバーがいる。

「えっと…」
「あっ、もしかして名前忘れちゃった?しょうがないな…」

そう言うと幸村は紙に名前を書いた。
幸村精市と

「読み方分かる?」
「えっと……ゆきむら…せい…し?」

その瞬間部室にいた人数名が笑った。
赤也は飲んでいた飲み物を噴き出して笑った。
かなは周りのこの反応で間違えたことに気付き泣きそうになりながら

「ご、ごめんなさい…」

と言った。
しかし幸村は笑ってかなの頭を撫でた。

「気にしないでいいよ。これはせいいちって読むんだ。」
「はい…」
「だからこれからは幸村先輩じゃなくて、精市って呼んでね」
「はい…」
「それでかな、少しの間耳ふさいで目をつぶっててくれるかな?」

そしてかなは自分の手で耳をふさぎ、目をつぶった。
すると幸村は赤也を睨んだ。
赤也は笑うのをやめ、飲み物をゆっくりロッカーにしまった。

「今笑ったの赤也以外に誰かな?かながかわいそうだろ?」

声が低くなった。
雰囲気もなんか黒くなっている。

「俺だけじゃないっすよ!仁王先輩や柳生先輩も笑ってたっす!」

赤也は部室にいた人を指差していた。

「あっ、そう…今部室にいる人全員校庭10…いや100周走って来てくれるかな?」
「ゆ…幸村流石にそれは…」

真田がロッカーの方を見ながら言った。
今の幸村の方を見たくない……否見れない。

「真田、意見があるならハッキリと俺の目見て言ってくれるかな?」
「いや、なんでもない。少し走ってくるとしよう」

真田はそう言うと部室から出て行った。
そして真田がいなくなったこともあり、他の部員も逃げるように部室から出て行く。
こうして残ったのは幸村とかなの2人だけ。
幸村はかなの耳から手を離した。
さっきまであった黒い感じはなくなっている。

「もういいよ」
「はい…あれ?みんなどこに?」

さっきまでいた部員がいなくなっている。

「真田たちはまだ練習したいって言って外に行ったよ」
「へー。ゆき…精市先輩は行かないんですか?」
「ああ。俺はかなといたいからね。後先輩つけないでいいよ。」
「はい。」
「じゃあ俺達は帰ろうか。」
「分かりました。」

そして幸村が着替え終わるのを待って2人は歩き始めた。
その時に校庭を見るとみんな走っていた。
フラフラになりながら走っている人もいる。

「フラフラしてますが、大丈夫なんですか?」
「ああ。きっとみんな走るの好きなんだよ。」
「そうなんですか。さすが立海のテニス部ですね。」
「じゃあ帰ろうか。少しずつ敬語もなくしてもらうからね。」

こうして2人は帰っていった。
校庭で走ることになった人たちは…
真田がいたせいでサボれず全員100周走ったらしい…

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