過去と未来と今

□☆テニスの試合
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「やだ!」
「やだじゃない!」
「いやだ!」
「いやだじゃない!」

テニスコートの入り口から女子の声が聞こえる。
1人は女子テニス部部長の山野。
もう1人は男子テニス部マネージャーのかな。
山野がかなのことを引っ張っている。
しかし、かなは入り口のフェンスを掴んでいる。
そんな時にブン太が来た。

「俺の妹に何のようだよ」
「なんでこの子を男子テニス部に入れたのよ!」
「勝手に入ってきたんだから、知らねえよ」

山野はそう言った時に、かなの事をはなした。
この隙にかなはブン太の後ろに隠れた。

「嫌がってんだからいい加減やめろよ」
「この子が女テニに入れば、それだけで全国大会で昨年よりいい成績残せるのよ!」

山野はかなを指差している。

「わたしは女テニには入りたくないの!」

ブン太の後ろからかなが言った。
山野はかなの腕を掴んだ。

「いいから来るの!」
「やだ!」
「やめろよ!」

ブン太は山野の腕を掴んだ。
こうしてぐちゃぐちゃになり始めた頃…

「これはなんの騒ぎかな?」

幸村が来た。
一瞬3人の動きが止まる。
そんな3人を見ながら幸村は言った。

「ここで何の話ししてるのかな?」
「この子が女テニに入らないから来たのよ!」
「幸村先輩、断っているのに、この人しつこいんです」

幸村を間に挟みかなと山野が言った。
幸村は山野を見て言った。

「俺は、かなが女テニに入るか入らないかは、山野先輩が決める事ではないと思いますけど」
「そ…そうだけど…でも幸村君も知ってるんじゃないの?この子の強さ。」
「聞いてはいますが、1年半くらいテニスしてないみたいですよ?」
「それでも、強いのよ!私みたのよ!」

山野はかなを見て言った。
かなは再度ブン太の後ろからチラリと見ている。
その状態で、かなは山野に言った。

「もういい!頭痛がしてきた。試合してあげるから、わたしが勝ったらほっといて。」
「いいわよ。準備が出来たら女テニのコートに来なさいよ!」

それだけ言うと山野は走って行った。
ブン太がかなを見た。

「お前、事故ってからテニスやってないだろ」
「この前赤也と軽く打ち合いした。」
「走れんのかよ」
「前より遅いけど、短期で決着つければ問題ないよ。では、少しだけ女テニのコートに行ってきます。」

かなは幸村にペコっとお辞儀をすると、部室に走って行った。
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