過去と未来と今

□※黒い虫
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「ギャーーー」

かなは部室から飛び出した。
そして階段を段抜かしで飛び降り、テニスコートにいた幸村に抱きついた。

「た、たすけて!!」
「部室でなにがあったんだい?」

幸村は一瞬でいろいろな可能性を考えた。
しかし、答えは思っていたよりも簡単なものだった。

「あ、あの虫が!あいつが出たの!」
「あーあの黒い虫?」
「そう!柱にくっついてた!」
「もう、かなは子供だね」

よしよしと幸村はかなの頭を撫でた。

「部室に落ちてるかばんでも投げればいいと思うよ。」
「無理!できない」

さっきより強く幸村を抱きしめた。
そして泣いている。

「テニスコートでいちゃつくなど……たるんどる!!」

真田がそう言いながら来た。
泣いているかなは、この声にすごくビックリした。

「部室にゴキブリが出たんだって。よしよし……真田が退治してくれるって。」

かなの頭を撫でながら幸村は言った。
真田が一瞬嫌そうな表情をした。

「俺が…やるのか?」
「え?真田がやってくれるんだろ?」

なんだこの断れない雰囲気は……
退治できなくはないが…

「あ…ああ…」
「じゃあよろしく」
「俺1人でか?」
「そうだよ。俺はかなが泣き止むまで一緒にいてあげないといけないし。」
「そうだな…」

こうして真田は1人部室に歩いていった。
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