氷帝

□dance
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「華菜と岳人がセンターな。2人ともがんばれよ。」

相変わらず雑だなこの先生。
そう思いながら先生の話を聞いている。
正直めんどうだ。

放課後―

「華菜、一緒にがんばろうな」
「うん。」

華菜は頷いた。
かわいい。
と言いそうになったが、ここはがまんしないとな。
俺はまだ彼氏じゃないんだから。

「……えっと…じゃあまず…なにしよっか…」
「向日君は私を気にしないで練習してて。」

華菜はラジカセを取った。
そして教室から出ていこうとした。
やばい…

「華菜!」
「なに?」

華菜は教室のドアに手をかけたまま振り返った。

「一緒に練習しようぜ…俺、少しなら教えられるから……」
「私初心者だから。」
「なら、なおさら…」
「私下手だから」
「なら…」
「わかった。いいよ」

華菜はドアから手を離した。
そして歩いてきた。

あっ、言い忘れたが今なにをしようとしているのかというと。
クラス対抗のダンス大会の練習。
俺と華菜はセンターをやることになった。
くじでな…
最初は嫌だったが、華菜と一緒にやることになったから今すごく幸せ。
ダンスが嫌いなんじゃない。
むしろ好きなんだが。
最初、女子のセンターが心という話がでていた。
心は俺のこと好きみたいだが、正直ああいうのは苦手だ。
俺に近付く女子に「死ね」とか
「がっくんに告白したらあんたを殺すからね」
とか言っている。
テニス部の人を利用しようとしたりするあいつは苦手…というより嫌いだな。
で、あいつが最初立候補していたからすごくやる気がうせた。けど、華菜でよかった。
華菜で…じゃなく、華菜がよかった…だな。

「じゃあ始めるか。」

こうして俺と華菜の放課後練習が始まった。
やってみて思ったのだが、華菜は以外にダンスが上手だということ。
数日であのダンスを全部覚えた。
初心者と言ったのが嘘なんじゃないかと思うほど…

「次はターン…で終わり!」
「…最後まで踊れた!ヤッター!」

華菜はすごく喜んでいる。
かわいいな。

「明日はいよいよ、クラスの人と合わせる日だな。」
「う……うん」

急に華菜の元気がなくなった。

「どうしたんだ?」
「なんか…うまく踊れるか、不安になっちゃって。」
「大丈夫だろ。華菜は今まで一生懸命練習してただろ。……あっいい方法があるぜ
それはな…跳んでみそ!っていってジャンプするんだぜ」
「それ本当にきくの?」
「聞くぜ。一緒に一回だけやろっか。」
「うん」
「一緒に言うか。せーの」
「「跳んでみそ!」」

華菜と俺はジャンプした。
跳んだ…か。

華菜は着地すると俺を見て笑った。

「本当にきくね。明日一緒にがんばろうね」
「そうだな」
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