感謝(頂/贈)

□シンリン様よりブロケビ
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□ブロとケビンと見守る兄さん



「あれは…。」



10月31日世間で言うハロウィンのその日、ソルジャーことキン肉アタルはある任務を受けていた。
任務といっても所謂ファンサービス、仮装をして町を歩いて写真を撮られるだけという簡単なもの。

顔を隠せればなんの仮装をしてもいいからと大王になった弟の頼みとなれば断る訳にもいかず…しぶしぶ了承するはめになってしまった。

(さて…早くについてしまったな。)

会場周辺にあった時計を見れば朝9時を回ったところだった、仮装が始まるのはお昼から…今はいつもと変わらない迷彩服を着ている。

「時間はあるな。」

私は、人が増えるお昼前まで周辺を散策する事にした。

人で埋め尽くされるであろうメイン会場となる町の大通りの周辺では、店員がハロウィンの準備に追われ色とりどりのお菓子が飾られている。

(こうやって皆でハロウィンを祝うなど考えたこともなかった、これも弟たちの作った平和のおかげか。)

超人委員会主催、正義超人、キン肉族も協力して年々盛大になったハロウィンの仮装、今日は夜まで続くようだ。

(さて…、怪しい奴は居ないかな。)

万が一を考えて警備に支障が出そうな場所がないかを仮装中の下見を兼ねて探索をはじめる。

(雇われた訳ではないのに警備の心配をするあたり…完全に職業病だな。)

正義超人…ひいては弟の為にも隈無く確認、何気なく大通りから一本向こうの路地に向かった時聞いたことのある声が聞こえた。

「なあ、これ…被るのか?」

「不満か?」

(あれは、ブロッケンJr.じゃないか。)
バッファローマンをはじめとしたレジェンド達も全員招集したと弟が言っていた、どうやら彼もよばれたようだ。

「不満…あるけどな、何で俺と二人きりで過ごすと思ったのに…。」

「レジェンドは是非参加して欲しいと言われてな、ただの近所付き合いみたいなものだ。」

「どうせ、レーラもでて欲しいっていうアボカドみたいな弟子に頼まれたんじゃ?」

「それはない、彼奴とは誰かさんの忠告のおかげでここ数ヵ月何も話していない。」

「そうか、いい忠告をしてくれる男も居るんだな。」
「…ケビン。」

「ブロ、やっぱり俺と仕事じゃ勝てないか?」

「…比べられないが、今は仕事と答えるくらいはできる。」

「俺だったらブロって即答するのに…、レスラーから一転家事をこなせる美人妻とか憧れる。」

「…中途半端で投げ出す男に興味はない、ちゃんと守れるからこそ輝くものなんだろうな。」

「そうか…ああ、ブロが言うなら頑張れる。」

「ケビン、夕方までだ…そのあとは好きにしていい。」

「本当か?好きにシていいんだな!いやされたいほうだけど。」

「ああ、していいしやるから騒ぐな暴れるな。バレたら夜は無しだ!」

「がってん、承知の助だ!」


…物陰から二人の様子を眺めていた、ブロッケンと大きなカボチャで作られたジャック・オ・ランタンをもったケビンマスクが仲良さげに話している。
妻とか言っている辺りブロッケンJr.にも春が来ていたんだな…うむ、長かった。

しかしケビンといったら、可愛い甥っ子の友達だよな…タッグ戦のDVDは永久保存している。

「で、…この重たいカボチャ被るのか?」

「嫌か、お揃いだぞ?」

足元にはケビンのより一回り小さいカボチャが無造作に転がっている、そちらがブロッケン用のようだ。

「お揃い…被るに決まっているだろう!」

「それは良かった、きっと似合うぞ。」

二人はお揃いで町を歩くようだな。

向かう場所も同じみたいだし…あの二人だブロッケンJr.は平気そうな顔をしてけっこう初心な所がある。
世間の目がある以上…二人で歩くなんてなかなか出来ないのだろう。

ふむ…少し二人のデートを見守ってやるか、断じてストーカーではないぞお兄ちゃんは血盟軍の皆が気になるだけなんだからな!

もはや誰に言っているのか分からないが私が二人の障害を排除してやろう。

さぁ、追跡開始だ。
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