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□キャンディとメアリー
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ゲルテナ展。
美術館から脱出したイヴとギャリーは、二日後、もう一度あの美術館へと足を運んでいた。
「ねぇギャリー」
美術館の前で、イヴはくいっとギャリーの手を引っ張った。
「ん?どうしたの?」
「メアリー、本当にいるのかな?」
そうギャリーを見つめるイヴの瞳は期待と不安に揺れていた。
「さあ。でもあのパンフレットの絵、見たでしょ?」
「うん……」
昨日、イヴはギャリーから一本の電話を受けた。
『今すぐゲルテナ展のパンフレットを見て!』
ギャリーに言われるままにパンフレットを開くと、そこにはーーー
「……メアリー?」
そう。メアリーの絵の写真が載っていたのだ。
パンフレットはゲルテナ展に来る前に母から受け取ったものだ。その時はパンフレットにメアリーの写真はなかった。つまり、パンフレットの内容が勝手に変わったのだ。
これはどういうことだろう。
メアリーの絵はイヴが完全に燃やしたはずだ。なのに、なぜあるのか。
イヴとギャリーは、その真偽を確かめる為に再びゲルテナ展へと訪れたのだ。