BLEACH短編
□夫婦の契り
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「あなたさえ! あなたさえいなかったら…!」
「柑奈様…」
「返して…あの人の心を返してよ…!」
気持ちの高ぶりに思わずあげてしまった右手
。
緋真を叩くつもりなんてなかったのに、その右手は緋真目がけて振りおろされた。
しかしその右手は、大きな手に掴まれたことによって阻まれる。
「何をしている」
「白哉…様………」
「柑奈…お前は今、何をしようとした?」
白哉の問いかけに、柑奈は顔を青くさせた。
そんな柑奈をよそに、白哉は緋真に優しい視線を向ける。
「わ、わた…し………」
「緋真…怪我はないか」
「えぇ、なんとも…」
「そうか」
緋真に怪我がないかどうかを確認すると、白哉は柑奈に冷たい視線を向けた。
「たとえ妻といえど、場合によってはただでは済まさぬぞ」
「…申し訳ありません………私、そんなつもりじゃ」
「言い訳など聞きたくもない」
白哉の冷たい視線と冷たい言葉。
ここで漸く柑奈は、先程の白哉の言葉を理解した。