BLEACH短編

□夫婦の契り
2ページ/10ページ



「女中が忙しそうにしてらしたので」
「兄はそのようなことをする必要はない」

ならば何をしろというのだろう。
緋真がこの邸に来てから、白哉が柑奈の部屋にくることは一切なくなった。
白哉の妻として側にいることでさえ出来ないのというのに。
白哉と結婚してもなお、死神を続けるつもりだったが、それすらも叶わなかったというのに。
忙しそうな女中の代わりに、白哉を呼びに来ることすらも許されないと言うのか。
柑奈には、白哉の言いたいことが到底理解できなかった。
文句の一つでも言ってやりたい気持ちでいっぱいだったが、相手は誰もが恐れる朽木白哉だ。
柑奈は乱れる気持ちをぐっと抑え、深く頭を下げた。

「申し訳…ありません」

少しの沈黙の後、深いため息が聞こえた。
柑奈の行動が気に障ったのか、白哉の霊圧もほんの少しばかり上がる。
それでも柑奈は、頭を下げたまま、もう一度謝罪を述べた。
そしてその場を立ち去ろうと白哉に背を向けたが、緋真がそれをひき止めた。

「柑奈様………」
「…は、い?」
「少し…少しでいいので………お話しませんか?」
「…えっと」

断りたい気持ちでいっぱいだが、断る理由が見つからない。
それに、白哉が先程度は違う優しい声で、「頼む」と言うものだから断るに断れなくなってしまった。

「わかり…ました………」

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ