BLEACH短編
□夫婦の契り
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柑奈が部屋を去った後、白哉はそのまま緋真の部屋で一夜を明かした。
そして朝を迎えた朽木邸は、いつもとは打って変わって騒がしかった。
何事かと思っていた矢先、1人の女中が部屋に入って来る。
「白哉様、大変です…! 柑奈様が、屋敷のどこにもいらっしゃらないんです!」
「美桜がいない…? ただ出掛けに行ってるということはないのか」
「いつもなら私に必ず行き先を告げますし…それに………」
「それに、なんだ」
「わずかではありますが、柑奈様のものが部屋からなくなっています…」
その女中の言っていることが本当のことだとすれば、考えられることはひとつしかない。
美桜が自分の荷物を抱え、この屋敷から出て行ったのだ。
それも、夫である白哉に何も言わず。
白哉の頭は真っ白になった。
「白哉…様………」
「何だ、緋真」
「柑奈様は、きっと寂しかったのでしょう…」
緋真の言葉を、白哉は全く理解できなかった。
どうして柑奈が寂しがる必要があるのか。
「何を言っている…?」
「柑奈様のお部屋を尋ねられたのは、いつが最後ですか…?」
最後に柑奈の部屋に足を運んだのは5年前。
自分は5年間も、妻である柑奈をほったらかしにしていたのだ。
緋真からそう言われてようやく気付いた。