BLEACH短編
□秋は夕暮れ
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「なに見てんだ??」
六番隊舎の窓から外を眺める小柄な少女、柑奈千ヶ崎に、六番隊副隊長の阿散井恋次は問いかけた。
千ヶ崎は笑顔で振り返り、恋次のもとに走っていく。
そして、恋次に勢いよく飛び込んだ。
「恋次ー!!」
千ヶ崎はルキアとさほど身長に差はない。
そんな千ヶ崎から飛びつかれたところで、身体の大きい恋次はびくともしなかった。
恋次は、自分を抱きしめて離さない千ヶ崎の頭に手を置いた。
そして千ヶ崎は、恋次の背中に回した手はそのままで、上目遣いをしながら「頭撫でて?」とおねだりをする。
恋次に頭をなでられ、嬉しそうに恋次の胸に頭を埋めるその姿は、甘える妹をあやす兄のようだ。
しかし、そんな二人はれっきとした彼氏と彼女。
つまりは恋人である。
「恋次ー」
甘えた声で千ヶ崎は自分の彼の名を呼ぶ。
その声に恋次は優しく応えた。
それでも特に何を言うわけでもなく、ひたすら恋次の名を呼ぶ千ヶ崎。
「れ、ん、じ!」
「おう?」
「れーんじ!」
「何だ?」
恋次、と呼べば返事が返ってくる。
それがよほど嬉しいのだろう。
千ヶ崎は満面な笑みを浮かべた。