BLEACH短編
□苦薬も時に甘し
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今日も空は晴天で青々しく、静かな朝が来た。
「やーだー!!」
子供の泣き叫ぶような声が、四大貴族である朽木邸の静かな朝をぶち壊す。
しかし、邸のものはその声に慣れた様子で反応することもなく、テキパキと仕事をこなしていた。
「柑奈…いい加減にしろ」
「嫌なものは嫌なの!」
柑奈と呼ばれた女の子は、朽木邸の静かな朝を壊した声の主。
布団に横たわり、額には濡れた手ぬぐいが置いてある。
彼女の顔はほんのりと赤く、どうやら風邪をひいているようだった。
「柑奈…」
この家の主である、朽木家二十八代目当主の白哉は、眉間に皺を寄せ、自分の妻である柑奈を見る。
「やだ!」
「きかぬか、柑奈」
「ぜーったいヤダ!」
白哉から発せられるであろう言葉を遮るかのごとく、柑奈は嫌だ嫌だとだだをこね続ける。
そんな柑奈に、静かに霊圧を上げてみた。
「霊圧上げたって嫌なものは嫌だ!」
「…何がそんなに嫌なのだ」
さすがは隊長格の霊圧を持つ女。
誰もが恐れる白哉の霊圧にびくともしなかった。