BLEACH短編

□もっと強くいられたなら
1ページ/5ページ



―いーちごっ!! 大好きだよ、いちご!!―

―僕の方が大好きだもん―

―私の方が大好きだもーん!―

目を瞑れば聞こえて来る幼き頃の自分の声と愛しい人の声。
オレンジ頭が特徴の黒崎一護は、とある交差点の近くにある電柱に、お花を添えた。
ここで命の灯火が消えたのは、一護が小学6年生の時に恋をした相手、千ヶ崎柑奈。
母を亡くした一護は、いつも笑顔で話しかけてくれる柑奈に恋をして、柑奈を守ろうと思った。
しかし、その決意は叶わなかった。

―え…?―

―柑奈ちゃんが事故に遭ったってよ…―

その日は、一護の母親が亡くなったときと同じで雨が降っていた。
土砂降りの雨によりスリップした車は、下校中だった柑奈をはねた。
救急車ですぐ病院に運ばれはしたが、治療もむなしく息を引き取ったのだ。
一護はそのとき柑奈と一緒にいた訳ではない。
それでも、護ると誓ったものを護れなかったという悔しさが一護の心を支配していた。

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ