BLEACH短編

□夫婦の契り
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柑奈は、我が夫、白哉がいるであろう部屋の前で佇んでいた。
この部屋は恐らく、側室の部屋。
湯浴みの準備が出来たと女中が言っていたから、白哉に伝えに来ただけなのに。
なかなかこの部屋の襖を開ける勇気が出ない。
中からは、楽しげに話す可愛らしい女の声と、愛しき白哉の声が聞こえる。
側室との会話に夢中になっているのか。
霊圧をダダ漏れにしても白哉が気づく気配がない。

「…何でこんなことになっちゃったかな」

5年前からだ。
白哉の瞳に映るのが、正室である柑奈ではなく、側室の緋真になったのは。
きっと、自分になかなかお子ができないから、跡取りのために緋真を側室に迎えたのだ。
最初はそう思っていた。
しかし、今になってその考えが間違いだったことに気づく。
緋真が側室に迎えられた理由はきっと、白哉が緋真に惚れたから。
ただそれだけの理由なんだと。
思いにふけっていると、白哉が部屋から出てきた。

「あっ…」
「兄は何をしている…?」
「あ…いえ、湯浴みの準備が整ったようなので、呼びに参っただけです…」
「何故それを兄がやっている?」

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