BLEACH短編

□紫ヒヤシンスの花言葉
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雲一つない真っ青な空。
サンサンと照らす太陽。
そんな空の下で、書類を抱え走る少女が一人。
少女の名は朽木柑奈。
護艇十三隊六番隊隊長であり、朽木家当主である朽木白哉の妻だ。
見た目は少女であるが、年齢は白哉と大して変わらない。
白哉の妻。という肩書は貴族の誰もが、死神の誰もが羨むこと。
柑奈自身も初めこそは喜んでいたものの、今となってはそういう感情は一欠片もない。
むしろ、後ろめたさで支配されていた。

「柑奈」

突如聞こえた自分の名を呼ぶ声に、柑奈は足を止め振り返った。
そこにいたのは、冷たい霊圧を放つ夫、白哉。

「朽木隊長…」

妻であるのに他人行儀な柑奈の呼び方に、白哉の眉間にしわが寄った。
隊長呼びをしたのはただ単純に、今は任務中だから、というのが理由だ。
しかし、眉間にしわを寄せた白哉にとっての問題はそこではなかった。

「名前で呼べ、と言ったはずだが」
「…今は任務中ですから」
「それでも今は二人きりであろう」
「公私混同しないでください」
「敬語を使っていることも気に食わぬ」

柑奈は頑固だが、白哉は柑奈以上に頑固者で、一度言い出したら聞かない。
こうもなれば、柑奈が折れるしか道はない。

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