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□先輩、気付いてますか?
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私はクロウ先輩のことが好き。

私とクロウ先輩との出会いは入学式のとき、私が道に迷っているときに助けてくれた。

それから私は自由行動のとき、欠かさずクロウ先輩のところに行く。

……と言ってもクロウ先輩とは直接会わず、陰からその様子を見るだけだけど……

だからクロウ先輩は私のことを知らないんだと思う。

彼だって入学式当日に迷っている1年を助けたのはたくさんいる。

私はその中の一人だ。

そんな一人一人の顔を覚えていないだろう。

そして今日は自由行動、だからクロウ先輩の様子を見に行こうと思う。

だけど……

ピピッ

「うーん38.4……完璧風邪ね。」

サラ教官は体温計を見てそう言う。

『う……』

「全く、昨日のあれが原因だな。」

ユーシスが腕を組み、呆れながら言う。

『うん……』

昨日というと子供を助けたことだった。

川で溺れている子供を助けようとしてに飛び込んだ。

そのあとサラ教官に呼ばれて、学校に戻らなくなってしまって……。

濡れたままの格好が長時間続いたため風邪を引いてしまったのだろう。

『ゴホッゴホッ……』

「大丈夫か?」

ガイウスが私の背中をさすってくれる。

『あ、ありがと……。』

「今日は自由行動だから、休みにはならないから安心しなさい。」

『う……』

安心なんてできないよ……だってクロウ先輩を見に行けない……。

「ほら、あんたたちは自由行動。行ってきなさい。」

サラ教官が皆の方に振り向いてそう言う。

「帰り、なにか買ってくるな。」

「あ、私も。」

「旧校舎のことは任せるがよい。」

「はやくよくなってね。」

「特別実習もあるから安静にするように。」

「じゃあ、僕たちは行くね。」

「お大事に、ナマエさん」

リィン、アリサ、ラウラ、フィー、マキアス、エリオット、エマの順番に私の部屋から出ていく。

ユーシスは一瞬だけ私の方を向いて、無言で出ていった。

そのあとガイウスは私の頭を撫でて出ていった。

「じゃ、私も行くとするか。」

サラ教官が全員出ていったことを確認して言う

「あ、そうそう。」

『?』

「勝手にクロウのとこ行かないこと」

『!!』

サラ教官は気づいていた

私がクロウ先輩のところに行ってたこと

「じゃあね〜」

ガチャ

『……』

残された私はやることがなく、ベットに潜り込んだ

『ひま……だな……(クロウ先輩、今日はなにしてるんだろ……やっぱアンゼリカ先輩とかトワ先輩とか一緒なんだろうな……)』
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