short2

□行かないで
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暗闇の中で一人で立っている私

どこを向いても真っ暗

光なんてどこにもない

声を出しても

そこには響かない

誰も反応してくれない……











私は必死で走った

光を求めて

すると誰かの声が遠くから聞こえた。

私はそちらへ向かって足を動かした。





声の主はリィンだ。

リィンが誰かになにかを言っている。

それも必死に、泣きそうに……

ノイズの用になる声ははっきり聞こえなかった。

しばらく見ていると少しずつ視界が開く。

リィンと向かっている相手がはっきり見えた。










クロウ先輩だ

でもどうしてクロウ先輩とリィンがここにいるのか?

なんの話をしているのか

私にはわからなかった

訳のわからず、二人のやりとりを見ていると急にクロウ先輩の表情が変わった。

……………………悲しそうだ

どうして?どうしてそんな悲しそうな顔をするの?

そしてクロウ先輩はリィンに背を向けて歩きだした。

行かないで

行かないで

行かないでよ……

どうしてそんな

悲しそうな顔をして

どこかに行くの?

待って

待って

待ってよ……

手を伸ばしても

届かない

声をかけても

振り向いてくれない

行かないで

私の側から離れないで

クロウ先輩……
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