short2

□克服するより頼ってよ
2ページ/4ページ

「天ぷら美味しいね」

『あ……はい……そうですか……』

「どうしたの?」

『え……いえなんでも……』

え、なんでこんなテンションかって?

実はこの天ぷら、私が作ったやつじゃないんですよ……

自分の腕が信用できなくて、いざというときに市販の天ぷら買ってきたのです……買ってきて正解だったな……

マツバさんには見られてないから私が作ったやつとは思われてないからいいけど……

なんかすみませんマツバさん……

マツバさんを見ると嬉しそうに天ぷらを食べている

うぅ……なんか悔しい……










そのあと風呂に入って、マツバさんは朝から挑戦者がいるんだよと言って、早く寝てしまった

うん、これはチャンスだ

マツバさんが寝ている間に天ぷら作りを練習しよう!!

材料は余分に買ってきたから残っている

朝起きてまた天ぷらとは苦しいかもしれないけど……

まぁいっか☆←

私はマツバさんの寝室に行って寝たことを確かめる

マツバさんの寝顔が目に入る

もちろんのことバンダナを外して寝ている彼

くそっ……可愛すぎる!!天使だ!!マツバさん天使だ!!←

このまま寝顔を見ていたいが私は我慢してキッチンに戻った









『んじゃ、始めますか!!』

と夜中で一人で気合いが入ってる私

ムックルも付き添いで来てくれた

でもテーブルの上で眠たそうにこちらを見ている

そんなに眠たかったら寝ればいいのに……

ムックルに背中を向けたら瞬間、なぜか二つの視線が感じる……

おかしいなぁ……ムックルしかいないはず……と思って振り替えれば壁の向こうでひょこっとゲンガーがこちらを見えていた

あぁ、ゴーストタイプは夜行性だもんね……

そう理解して、私はゲンガーに近寄って頭を撫でる

『ゲンガー、これはマツバさんに内緒だから……起こしちゃダメだよ?』

と私はシーッと人差し指を口に当てて言う

ゲンガーは私と同じ行動をしながらニシッと笑う

なにこれ天使

ゲンガーは私の横を通り過ぎてムックルの隣に座る

私はキッチンに戻ってやっとのことで調理を始める










『……』

エビの準備を終えたあと、私はさっきと同じようにフライ鍋とにらめっこしていた

どうしても火の使い方が分からないらしい

助けを求めてムックルとゲンガーの方を向く

と見ればムックルは寝ていてゲンガーは開けっ放しの小麦粉の袋で遊んでいた

あ、やば……

『ゲンガー、ダメだよ……こぼれたら掃除が大変なんだから……』

ゲンガーに近付くとニシッと笑ってテーブルからおりて、走り回る

『ちょ、ゲンガー!!遊びなら後でしてあげるからそれたけはやめてーっ!!』

私はゲンガーを必死に追いかけていたが何かに引っ掛かってその場で転ぶ

『いったぁ……』

おでこを打ったのでそこを擦りながら上を見上げると

「何しているの?ナマエちゃん」

マツバさんがいた

「ゲンゲン!!」

マツバさんの姿に気付いてゲンガーはテーブルの上にあったトレーをマツバさんの方に持っていった

ん?ちょっとまて……そのトレーって……

「エビ?」

見られてしまった……

そう、あれは粉をつけたエビが入ったトレーなのだ

『えーっと……』

私は立ち上がって俯いてしまう

こんな時間に料理をしていたなんて絶対練習していたとわかってしまう

料理ができないなんて思われたくない……

そう思っていたらマツバさんが私に話しかけてきた

「ナマエちゃん、僕のために天ぷらを作るのを練習していたの?」

私は俯いたままコクリと頷く

「ありがとう」

マツバさんがそう言えば私を軽く抱きしめてくれた

訳がわからなくなってマツバさんにたずねた

『へ?あのマツバさん……』

「ナマエちゃん、火、苦手なの?」

『うっ……』

図星をつかれて何も言えなくなってしまう

「その前に料理初めて?」

『うぅ……』

マツバさんは何でも知っている

これぞ“千里眼を持つ修験者”だ……

「僕のために天ぷらを作ってくれるのは嬉しいよ」

『はい……』

「でも火とか苦手なら……克服するより頼ってよ」

『マツバさん……』

「料理なら僕に任せてよ」

マツバさんはそう言って私から体を離して天ぷらを作り始めた

私はその姿をボーッと見ていた

頼ってよ……か……私も頼ってほしいな……
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ