short2

□先輩、気付いてますか?
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『ん…………あれ』

気が付くと昼過ぎになっていた。

色々考えているうちに寝てしまったのだろう。

『ま……いっか』

コンコン

『?』

突然部屋のノックが聞こえた。

『(誰だろう……リィンとかかな)はい、開いてます……』

「お、やっぱいるんだな。」

え、この声って……

ガチャ

「よっ、後輩。」

『クロウ先輩!?』

ノックして、入ってきたのは紛れなくクロウ先輩だ。

「風邪、大丈夫か?調子はどうよ?」

『え、えっと……』

どうしてここがわかったのか。

どうして私が風邪なのか知っているのか。

そもそもどうして私のことを知っているのか……

疑問しか頭になかった。

そう考えているうちにクロウ先輩は私の寝ているベットに腰かけた。

クロウ先輩は私を安心にさせるように頭を撫でてくれる。

『あ……あの……』

「あー色々疑問あるだろうなー……」

『え?』

「んじゃ教えてやる。サラ教官に聞いたんだ。」

『サラ教官に……ですか?』

「おう。お前、いつまで経っても来なかったからな。」

『いつまで経っても来なかったって……えぇ!?』

クロウ先輩の発言は明らか私のことを知っている様子だ。

『な、なんで私のことを……』

「そりゃ、お前入学式以来ずっと自由行動や放課後、オレのとこに来てたからわかるっしょ。」

『で、でも……気づかれずにいたはずなのに……。』

「へへーん、オレが気づかないとでも思ったのか?」

クロウ先輩がグイッと私に顔を近づける。

『そ、それは……その……』

クロウ先輩の顔が目の前にあって彼のことを見ることができない。

「まっ、元気そうでなによりだ……ナマエ。」

『!!』

いきなり名前を呼ばれて反応してしまう。

『あの……私の名前ってやっぱりサラ教官が……』

「いーや?トワが言ってたぜ。ほら、Z組だけ制服違うからすぐわかるんだよ。」

『トワ先輩が……』

「というかゼリカもトワも、お前のこと気づいてたぜ?」

『そ、そうなんですか!?声をかけてくれたらよかったのに……』

「それはこっちのセリフだってば。」

『そ、そうですよね……。』

「ナマエ」

『は……い?』

クロウ先輩に呼ばれて顔を上げた瞬間、私の前髪をあげて。

チュッ

額に口づけをした。

『へ?』

「元気になったらまた来いよ。」

頭を撫でながらウインクをしながら言う。

『え……ええぇぇぇぇ!?』

「ははっ……顔真っ赤だな〜」

『どどどどうして……あの……その……』

「まーまー落ち着けって。」

告白するのは今しかないと思った私は想いを告げようとする。

……だって二人っきりだもん。

『わ、私……その……』

Prrrr

「お、わりぃ、オレだわ。」

タイミングよく彼のアークスが鳴る。

「ん、任せろ。んじゃな〜。」

P!

「悪いな、ゼリカから頼み事されたから行くな。」

『あ、はい。ありがとうございます。』

クロウ先輩は私の頭を一撫でして耳元で“お大事に”と言って、部屋から出ていった。

『も、もう……。』
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